e悪質貸切バスの罰則強化
- 2016.10.19
- 情勢/社会
公明新聞:2016年10月19日(水)付
5年更新制罰金100倍に
軽井沢事故受け 改正案を閣議決定
政府は18日、大学生ら15人が死亡した長野県軽井沢町でのスキーバス事故の再発防止に向け、貸し切りバス事業者への罰則強化を盛り込んだ道路運送法改正案を閣議決定した。
改正案は、貸し切りバスの事業許可に5年の更新制を導入。一度取得すれば無期限で有効だった事業許可は、安全性を確保できないと判断した場合は更新しない。事業許可の取り消し後、再参入するまでの期間も現行の2年から5年に延ばす。
安全対策が不十分な事業者への罰金も従来の100倍となる「1億円以下」に引き上げ、違反に関与した経営者などへの懲役刑も導入する。現行法では乗客の安全確保に向けた命令に従わない場合、個人、法人ともに「100万円以下の罰金」を科しているが、個人に「1年以下の懲役または150万円以下の罰金」を命じる上、法人には「1億円以下の罰金」を科し、違反への抑止力を高める。
一方、バス事業者の負担金で運営する民間機関を設置して各社を巡回指導。問題があった業者には国が監査に入り、必要に応じて処分する。
石井啓一国土交通相(公明党)は閣議後の会見で、「年末のスキーシーズンまでに万全の対応を図るためにも、臨時国会での確実な成立に向けて努力したい」と述べた。
貸し切りバス事業者への罰則強化について公明党は、「悲惨な事故を二度と起こしてはならない」との強い決意で対策を推進。事故直後の今年1月には、党国交部会による現場調査やバス事業者との意見交換を踏まえ、石井国交相に対し、再発防止に向けた提言を申し入れていた。
国交省は今年3月、公明党の提言を踏まえ、貸し切りバス事業者に対してドライブレコーダー装着の義務付けを決定。シートベルトの着用徹底、貸し切りバス事業者の安全性評価認定制度の周知を行ったほか、旅行会社に代わってバスを手配したり、バス運賃を取り決める「ランドオペレーター」と呼ばれる仲介業者のあり方についても検討している。