e認知症の高齢者 見守ろう
- 2016.10.20
- 情勢/社会
公明新聞:2016年10月20日(木)付
全小学校、5年生対象に講座
宮崎市
宮崎市は今年度から「認知症サポーター養成講座」を全市立小学校48校で行うよう働き掛けており、実現すれば全国でも先進的な取り組みとなる。公明党市議団(島田健一団長)は4日、同講座を行っている小学校を視察し、関係者から話を聞いた。
理解深め、接し方学ぶ
「みなさん、認知症という言葉を聞いたことがありますか」。講師の呼び掛けに、元気よく手を挙げたり、隣の子の様子をうかがうなどさまざまな反応を示しながら、児童が真剣な表情で耳を傾ける。市立小松台小学校(柏木美樹生校長)で行われた「認知症サポーター養成講座」の一コマだ。
同講座は、認知症を正しく理解するサポーターを増やし、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりの担い手を養成するもの。市によると、市内の認知症高齢者は1万236人(4月末現在)で、高齢者の約1割に及ぶ。市福祉部長寿支援課の福元直昭課長は、「市として、同講座の実施を全小学校に広げる方針を掲げ、今年1月には市教育委員会を通して校長会で依頼した。子どもの時に認知症の知識や対応を意識付けさせることで、市全体で認知症患者を見守る環境づくりが期待できる」と強調する。
小学校での講座は、理解力などを考慮した上で、5年生の児童が対象。「全国キャラバン・メイト連絡協議会」(東京都)のスタッフが講師となり、分かりやすい言葉と図を使った認知症の説明や、認知症患者と出会った時の対応を考えるための寸劇や紙芝居などを行う。市によると、現在までに10校で講座が実施された。
この日、小松台小学校の体育館には5年生の児童95人が集まり、認知症についての講座を受けた。寸劇も行われ、買い物に来た認知症の高齢者がスーパーのレジでもたつき、後ろに並んでいた他の客が迷惑がるという場面を再現。その後、児童たちは4、5人のグループに分かれ、「近くに認知症の人がいたら、どうすればいいか」とのテーマをもとに話し合った。
講座終了後、受講した男子児童は「認知症の人を正しく理解してあげることが大切だと感じた。家に帰って親にも教えてあげたい」と笑顔を見せた。女子児童は「認知症の人もそうでない人も、みんなが気持ちよく過ごせる地域づくりが重要だと思う」と話していた。柏木校長は「認知症を学ぶことによって、認知症への理解を深めるだけでなく、人を思いやる心も育める」と手応えを感じ、「今後も積極的に行っていきたい」と語った。
この取り組みに関しては、党市議団の上野悦男議員が2014年12月の定例会で、高齢者の見守り体制の充実を求めるとともに、子どもを対象にした同講座の重要性を訴えるなど、一貫して推進してきた。
視察後、島田団長は「今後も市内全校で同講座が実施されるよう応援していきたい」と語っていた。