eコラム「北斗七星」

  • 2016.10.24
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年10月24日(月)付



「世紀の発見では!?」。子どもの頃、自宅の庭から出てきた硬貨らしき物体に心が踊った。もちろん価値のない、ただの鉄くずだったのだが、そのワクワク感は今も覚えている◆沖縄県うるま市教育委員会は先月、同市の勝連城跡から3~4世紀のローマ帝国と17世紀のオスマン帝国のコインが出土したと発表した。こちらは正真正銘の本物。両帝国のコインが国内の遺跡から発見されるのは初めてのことだ。ローマ帝国のコインは、勝連城が海上交易で栄えた14~15世紀に流入した可能性があるという◆沖縄から約1万キロ離れた地中海地方の遺物がどのように持ち込まれたのか。東アジアだけでなく、西洋とも何らかの接点があったのか。夢は広がる一方だが、真相の解明を期待して待ちたい◆県内では最近、考古学・人類史上貴重な発見が続いている。南城市のサキタリ洞遺跡では約2万3千年前の世界最古の釣り針が出土し、同時にモクズガニの爪やオオウナギなどの骨が多数見つかった。これまで狩猟が中心とされていた旧石器人だが、漁労活動をし、意外にグルメだった可能性があるという衝撃の発見だ◆勝連城跡もサキタリ洞も今は観光地になっている。遺産の保存は重要だが、観光にも大いに活用したい。先人の生活に思いをはせ、歴史のロマンに迫る場所として。(治)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ