eテロの水際阻止 国際的な情報共有で安全守れ
- 2016.10.24
- 情勢/国際
公明新聞:2016年10月24日(月)付
テロリストの入国を水際で阻止するため、政府は新たな対策を先週からスタートさせた。
全国の空港・港湾の入国審査で、外国人から提供を受けた顔写真とテロリストの顔画像データとを照合し、一致した場合は強制退去などで対応する。
顔画像照合によってテロリストの発見、入国阻止が迅速、確実にできる態勢がさらに整った。厳格、適正な運用を期待したい。
今回の対策導入に当たり、政府はこれまでに入国管理の分野で着実なテロ対策を進めてきた。
政府は、日本に入国する16歳以上の外国人は在日韓国・朝鮮人の人たちを中心とした特別永住者などを除き、2007年11月から原則的に入国審査時に顔写真と指紋の提供を義務付けた。その前年6月には、テロリストという理由だけで入国拒否や強制退去ができなかった制度を改め、法相がテロリストと認定すればそれを可能にしている。
テロ対策にとって重要なのは、プライバシー保護など人権を尊重しながら、同時に、国際的レベルに対応した措置を取って日本を"テロの抜け穴"にしないという二つの目的を追求することである。
特に、国際的レベルへの対応は、テロの未然防止に欠かせない情報収集の分野にとっても必要だ。
政府は現在、テロリストの顔画像データについて、国際刑事警察機構や外国政府の治安当局と情報共有を進め、今後も随時更新していく方針だが、さらに協力関係を深めなければならない。
こうしたテロリストの入国阻止と合わせ、政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は昨年5月に決定したテロ対策の中で、もう一つ重要なテーマを挙げている。それは、国内でテロリストに利用される可能性が高い物資や施設の管理強化である。
例えば、化学物質は爆弾の原料となり得るし、病原体は生物兵器にもなる。また、宿泊施設が"隠れ家"にされる恐れもある。
政府は、こうした物資や施設を管理する事業者の協力を得ながら、テロリストに付け入る隙を与えない安全な社会の構築に努力してほしい。