eCOP22開幕 「脱炭素社会」へ日本は行動で範を

  • 2016.11.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月7日(月)付



「脱炭素社会」の実現に向けた新出発に際し、日本は具体的な行動を通じて国際社会に貢献すべきだ。

きょう7日、モロッコで国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が開幕する。地球温暖化対策の新たな国際的枠組みである「パリ協定」が4日に発効後、初のCOPとなる。期間中には、協定に記された目標実現のためのルールを話し合う第1回パリ協定締約国会議(CMA1)も開かれる予定だ。

産業革命前からの平均気温上昇を2度未満に抑えるべく、先進国・途上国を問わず全ての国が温室効果ガス削減に取り組むパリ協定は、採択から1年足らずという異例の早期発効となった。温暖化への危機感を共有する国際社会の強い意思の表れといえよう。

日本はCOP22開幕前の批准をめざしていたが、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる国会審議の影響もあり間に合わなかったことは残念でならない。

CMA1に議決権のないオブザーバー参加となる日本には「出遅れ」批判もあるが、重要なのは今後の具体的な取り組みだ。協定が掲げる「今世紀後半の温室効果ガス排出の実質ゼロ」達成へ、日本が世界をリードすべきだ。

既に政府は協定を踏まえ、地球温暖化対策計画を5月に閣議決定し、2050年までの排出量を現在に比べ80%削減する目標を示した。産業・民生部門ともに政策を総動員し、計画を着実に実行したい。

何より、日本には世界トップクラスの省・再エネ技術がある。最新技術を積極的に世界展開できるよう、国は産学官の取り組みや連携をさらに後押しすべきだ。高度な技術を持つ中小企業の海外展開へのサポートも必要だろう。

技術開発も加速させたい。新産業創出を復興の柱に掲げる福島県では、再エネ大量導入に向けた水素技術の研究などが進む。こうした例を参考に、二酸化炭素回収・貯留技術(CCS)や人工光合成といった対策の切り札と期待される分野にも注力すべきだ。

COP22では途上国の温暖化対策への支援のあり方もテーマとなる。インフラ投資に温室効果ガス削減の視点を盛り込むなど、日本が果たすべき責任と役割は大きい。

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