e行政事業レビュー  国民の理解深める工夫重ねよ

  • 2016.11.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月8日(火)付



行政の無駄削減へ広く国民が参加できるよう今後も工夫を重ねていくべきだ。

政府は5日、国の予算に無駄がないかを民間の有識者が公開の場で検証する「秋の行政事業レビュー」を大阪大学(大阪府豊中市)でスタートさせた。東京会場(10~12日)と合わせて計4日間の日程で行う。

各府省庁が夏までに実施した予算執行を検証する行政事業レビューは、今年で4回目。政府は2016年度当初予算について、昨秋のレビューで概算要求段階から計1018億円を削減できたとしている。

電子メールで申し込めば会場で傍聴できるほか、議論の様子はインターネットの動画サイト「ニコニコ動画」でも生中継される。前回のレビューは、3日間の合計で18万人超が視聴した。

今回は、より多くの国民に行政改革の取り組みを知ってもらうため、初めて地方開催が実現した。インターネットや会場の傍聴者から質問を受け付けたのも新たな試みだった。国民の関心を高めることに知恵を絞る努力を評価したい。

ただ、最も問われるべきは言うまでもなく論議の中身である。行政改革というと、予算の削減ばかりが注目されがちだが、事業の効率化や具体的な改善点を検討する視点も忘れてはなるまい。

5日のレビューでは、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)を推進するため、「法人税を軽減したり、各自治体のノウハウを共有したりする必要がある」などの具体策が提案された。

東京会場では、東日本大震災の復興事業が取り上げられるほか、出産を終えた医師や歯科衛生士らの復職支援策など女性活躍推進関連の事業も検証する。大阪会場同様に建設的な議論となることを期待したい。

今回の行政事業レビューを踏まえた各府省庁に対する改善点は今月下旬にもまとめられる。17年度予算編成に役立ててほしい。

税金がどのように使われているのかを分かりやすく伝えることは、国の事業への国民の理解を深めることにつながる。そのための努力を政府は怠ってはならない。

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