e就職氷河期世代 正社員化進める手厚い支援を

  • 2016.11.09
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月9日(水)付



「就職氷河期(1993~2005年)」世代。バブル後の不況期に企業が採用人数を絞り込んだため正社員になれず、アルバイトや派遣、パートなどの非正規労働者として働かざるを得ない苦しい状況に置かれてしまった年代だ。

 

厚生労働省はこの世代の人たちを正社員として雇った企業に対する助成制度を、2017年度に創設する方針だ。これにより、就職氷河期世代の正社員化の動きが加速することを期待したい。

 

就職氷河期世代の人たちは今や、30歳代後半から40歳代の働き盛りの年齢に達しているが、依然、雇用が不安定な傾向にある。条件の良い就職先が見つからず、非正規の職を転々としてきたケースが少なくない。

 

そのため今回の制度は、過去10年間で5回以上の失業や転職を経験した35歳以上の非正規社員や無職の人を正社員として雇用した企業に助成金を支給し、企業側の採用意欲を高めることが狙いだ。

 

支給額は大企業で1人当たり年間50万円、中小企業は60万円。社員として定着しているかどうかを見極めるため、雇い入れから半年在籍していれば30万円、さらに半年後も在籍していれば30万円というように2回に分けて支給する仕組みにするという。

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、就職氷河期世代の非正規労働者は149万人(既婚の女性を除く)。同世代の非正規労働者は社会保険の加入率も低く、厚労省によると、雇用保険の加入率は65.2%、健康保険は52.8%、厚生年金は51%と、いずれの加入率も99%を超える正社員を大きく下回る。

 

こうした人たちが将来的に無年金者となり、生活保護を受給するようになればその額20兆円近い費用が必要になるという試算もあり、財政的な負担も大きい。

 

これまで、公明党の力強い推進もあり、キャリアアップ助成金やトライアル雇用奨励金など、政府は非正規から正社員への移行を促す政策を行っている。しかし、これらの政策は若年層向けが中心であったため、今回はその上の年齢層を対象としている。就職氷河期世代への支援も手厚くしていくことが重要だ。

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