e不正許さぬ「完全後払い式」

  • 2016.11.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月10日(木)付



政務活動費(年間上限18万円)
全領収書などHPで公開
事前計画、事後報告も提出 議会事務局が審査し交付
京都・京丹後市



各地で政務活動費の不適切な使用やずさんなチェック体制が問題視されている。不正を許さない制度にするためには、どうすればいいのか。関係者が模索する中、京都府京丹後市が2015年度から始めた「完全後払い式」の政務活動費が全国でもとりわけ厳格な制度として、注目を集めている。

同市議会の政務活動費の上限は議員1人につき年間18万円。使途は条例によって、調査研究のための交通費・宿泊費、研修会参加費などに限られ、人件費、事務所費などは対象外だ。

完全後払い式の政務活動費の交付は、上半期(4月~9月)と下半期(10月~3月)の年2回に分けて行われる。

交付に至る過程は、まず議員が視察や調査に行く前に、日程や場所、目的、概算経費などを書き込んだ「調査研究等計画書」を、調査後は成果を詳細に盛り込んだ「調査研究等報告書」を議会事務局に提出する。さらに議員は、半期ごとに経費の合計額をまとめ、1円以上の全ての領収書を添付した「実績報告書」を提出し、政務活動費の交付を申請。議会事務局は提出書類を公務員の旅費規程などを準用し、適正額を審査した上で年間上限内で交付を決定している。

事前の計画書、調査後の報告書、領収書などの提出書類のほか、審査結果、チェックシートなど事務局側の書類も全て、同図書室で閲覧できる上、市議会のホームページ(HP)でも公開されており、容易に確認できる状態になっている。

同市議会の政務活動費の制度設計については、公明党の松本聖司市議が、政務活動費等調査特別委員会の委員長として、1年4カ月にわたって検討を重ね、不正を許さない制度の導入をリードしてきた。

10月には、当時の大阪府議会の共産党幹事長が白紙の領収書に自ら水増しした金額を書き込み、5年間で220万円に上る政務活動費を不正に受け取っていた問題が発覚し議員辞職するなど、政務活動費をめぐる不祥事が各地で続いている。京丹後市の政務活動費は上限18万円と比較的に少額ではあるが、「不正が入り込む余地がない仕組み」として、全国から問い合わせが相次いでいる。

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