eTPP承認案 衆院通過
- 2016.11.11
- 情勢/社会
公明新聞:2016年11月11日(金)付
成長へ海外需要取り込む
農業発展の国内対策 的確に
稲津氏が討論
衆院は10日、本会議を開き、環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案を自民、公明の与党両党と日本維新の会の賛成多数で可決、参院に送付した。
採決に先立ち賛成討論に立った公明党の稲津久氏は「人口が減少していく日本において、将来にわたる持続的な経済成長を実現するためには、海外の需要を取り込むことが極めて重要だ」と強調。TPPが発効すれば、参加国の国内総生産(GDP)の合計が世界全体の約4割に達し、人口は8億人に上ることに触れ、「(TPPは)日本の中長期的な経済成長の基盤となる」と訴えた。
稲津氏は、農林水産業の発展のための国内対策に関して、TPPでは日本の農林水産物の約2割が関税撤廃の例外となったことを指摘。特に、コメなどの重要5項目では、輸入を政府が一元管理する国家貿易制度など基本的な制度が維持されたほか、公明党の提言を踏まえ、政府が総合的なTPP関連政策大綱を策定したことなどに言及し「(重要5項目を関税撤廃の例外とするよう求める)国会決議の趣旨は守られた」と力説した。
さらに、稲津氏は、8日の米大統領選の結果、TPPに否定的な見解を示してきた共和党のドナルド・トランプ氏が当選したことに関連して、「既に米国を含むTPP参加12カ国の首脳は、昨年11月にTPPの早期発効をめざすことを確認している」と強調。参加各国の国内手続きを促すために日本がリーダーシップを発揮する必要性があるとして「(日本は)今国会で着実に手続きを完了すべき」と訴えた。
また、稲津氏は、TPPに対する国民の理解を深めるために「丁寧な説明と、農林水産業をはじめとする国内対策の的確な実施を」と強く要請した。
一方、TPP承認案などの採決前に、民進党など野党4党が提出した山本有二農林水産相の不信任決議案は否決された。
発効へ日本がリード 井上幹事長
公明党の井上義久幹事長は10日夕、国会内で記者団に対し、環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案が衆院を通過したことを受け、大要次のような見解を述べた。
一、TPPは日本が本格的な人口減少社会に入り、世界の成長をどう取り入れるかという大きな課題に応えるもので、今後の経済成長にとって極めて重要だ。今国会中の成立を期したい。TPPは米国にとっても重要な協定だ。日本の批准で12カ国全体の批准、発効をリードする意義は大きい。
一、(民進党が反対討論をした後、採決前に退席したことについて)極めて分かりにくい対応だ。反対の態度を明確にしたくなかったのかもしれないが、反対討論までしているのだから、(採決で)賛否を明らかにすることは国民に対する責任だ。その意味で極めて残念である。