e駆け付け警護衆院安保委で佐藤氏
- 2016.11.16
- 情勢/国際
公明新聞:2016年11月16日(水)付
応急的、一時的な措置
15日の衆院安全保障委員会における公明党の佐藤茂樹氏の質疑要旨は次の通り。
任務の内容
佐藤 「駆け付け警護」の任務の内容と、そのニーズについてどう考えているか。
稲田朋美防衛相 「駆け付け警護」は緊急の要請に応じた活動関係者の人道的な見地からの保護だ。PKO(国連平和維持活動)に派遣されている自衛隊部隊の近くでNGO等の活動関係者が襲われ、ほかに速やかに対応できる現地治安当局や国連部隊等が存在しない極めて限定的な場面で、緊急の要請を受け、応急的かつ一時的な措置として自衛隊の能力の範囲内で行うものだ。
「駆け付け警護」の対象は、邦人のみに限られるものではないが、邦人を含む活動関係者に不測の事態が生じる可能性は皆無ではないと思う。
今般のPKO法改正により、「駆け付け警護」という任務と権限をきちんと付与し、事前に十分な訓練を行った。万が一の際、迷いなく任務に当たることができると考えている。
警護範囲
佐藤 他国軍人を「駆け付け警護」することはあるか。また、国連の歩兵部隊すら対応できないような事態ではどうか。遠方にまで出かけて行くのか。
防衛相 わが国の自衛隊は施設部隊であり、安全確保業務、すなわち治安や警護などを任務としているものではない。施設部隊が緊急の要請を受けて人道的な見地から応急的に対応できる範囲で行うのが今回の「駆け付け警護」だ。他国の軍人については自分の身は自分で守る能力を有している。他国の軍人を対象として「駆け付け警護」を行うことは想定されないと考えている。
「駆け付け警護」の性格を踏まえると、施設部隊である自衛隊員が自らの安全を確保しながら対応できる範囲には限界がある。激しい銃撃を伴う状況下において対応することは、その能力からして困難だ。
さらに、「駆け付け警護」の実施が想定されるのは、自衛隊部隊の近傍でNGO等の活動関係者が襲われ、他に速やかに対応できる現地治安当局や国連部隊等が存在しないといった極めて限定的な場面だ。そうした範囲を超えて「駆け付け警護」を実施することはない。
実施要件
佐藤 「駆け付け警護」を実施するためのPKO法上の要件は。
防衛相 まず、自衛隊をPKOに派遣するに当たっては大きく二つ要素がある。
一つはPKO5原則を満たしているかどうか。
同時に、PKO5原則を満たしていればそれで良いというわけではなく、自衛隊員の安全を確保した上で、意義ある活動を行えるかということだ。
今回の南スーダンのPKOは20年にわたる大きな紛争が終結をし、独立をして、紛争当事者がいないことを前提に活動している。新たに紛争当事者となり得るような国、または国に準ずるような組織は現れていないと考えている。
だから、国際的な武力紛争の一環として行われる人の殺傷、物の破壊である戦闘行為、法的な意味における戦闘行為は発生していないと考えている。
私も10月に視察したが、ジュバ(南スーダン首都)およびその近郊は比較的安定している。
安全確保
佐藤 PKO法第10条に定められた安全確保規定は実施計画の中にどう明記されたか。
防衛相 例えば過去のゴラン高原PKOのケースでは、輸送調整部隊がシリア国内の情勢悪化等を受け、要員の安全を確保することが困難となり、かつ十分な人員、物資の輸送が行えず、意義ある活動を行うことが困難となった。そのため、PKO5原則は満たしているが国連との調整を経て2012年12月に要員を撤収させた。
今回の実施計画の変更ではPKO5原則を満たしつつも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には国家安全保障会議(NSC)における審議の上、南スーダン国際平和協力隊および自衛隊の部隊等を撤収すると記載した。