e福岡市の道路陥没 地下インフラの点検・補修進めよ

  • 2016.11.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月16日(水)付



オフィス街の真ん中に、ぽっかりと空いた巨大な穴は、まるで映画が現実化したような衝撃的な光景だった。

福岡市のJR博多駅前で8日に発生した大規模な陥没事故。午前5時すぎに発生したことや、崩れる前に異変を察知した地下鉄工事担当者の判断で道路を通行止めにしたことが幸いし、通行人や車両に被害はなかった。しかし、発生時刻によっては大勢の人々が巻き込まれた可能性がある。事故原因の究明と再発防止策の徹底を強く求めたい。

事故は市営地下鉄七隈線の延伸工事中に発生した。看過できないのは、2000年6月と14年10月にも、この地下鉄工事で道路の陥没事故が起きている点だ。その時の教訓は生かされていたのか、今回の事故調査と並行して検証すべきであろう。

一方で、道路の復旧に関する市の対応は評価できる。24時間体制で取り組み、事故から1週間後の15日早朝には全ての工程を完了。以前と比べ30倍の強度の地盤にしたという。市民の不安を解消するため市長自らがホームページで疑問に答えるなど、積極的な情報発信も妥当だったと言える。

福岡市の事故は他の自治体にとっても人ごとではいられない。規模こそ小さくとも路面の陥没は各地で頻発している。特に老朽化した下水道管の破損による陥没事故は、14年度だけで約3300件も発生している。

全国に設置されている水道管の12.1%が法定耐用年数を超えている。にもかかわらず、年間に1%以下しか更新されていない状況を鑑みれば、事故の発生は今後も避けられないだろう。

大都市の地下には、多様な生活インフラが張り巡らされている。福岡市の事故では、道路の陥没によって、周辺地域で電気、水道、ガスなどが寸断され、銀行の現金自動預払機(ATM)が止まるなどした。ひとたび事故が起きれば、生活に与える影響は広範囲に及ぶ。

16年度補正予算には、公明党の強い訴えによって、耐震性のある水道管への更新支援などに400億円が確保された。積極的に活用し、全国で地下施設の点検・補修を進めてもらいたい。

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