e宇宙関連2法

  • 2016.11.28
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2016年11月26日(土)付



民間企業の参入促す環境を整備



民間企業による宇宙開発を後押しするための宇宙活動法など宇宙関連2法が、今国会で成立した。

宇宙ビジネスで国際競争が激化する中、民間企業の参入を促す環境を整えたことは、わが国の宇宙開発に弾みが付くだけでなく、経済成長に寄与する点からも大きな意義があろう。

日本の宇宙開発はこれまで、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を中心に政府主導で進められてきたが、欧米のような民間が衛星の打ち上げや管理に携わるための明確なルールがなく、国内法の整備が急がれていた。

宇宙活動法は、民間による商業衛星の打ち上げを許可制とし、打ち上げ失敗時の被害に備えた第三者損害賠償制度を設けた。衛星リモートセンシング法は衛星から得られる画像データがテロ組織などに悪用されないよう利用を制限する。

今後、許可に関わる基準など具体的な制度設計、運用方法が検討される。政府は、民間企業が安心して参入できる態勢を敷いてもらいたい。

世界の商業目的での衛星打ち上げ(昨年実績)を見ると、ロシアを含む欧米が25機中21機を占める。日本は国産ロケット初の商業衛星打ち上げに成功したが、ようやくその一角に分け入ったというレベルにあるのが現実だ。

欧米と互角に競争するには、価格と輸送力の問題を克服する必要があるといわれる。日本のロケットが1機約100億円するのに対し、米国のベンチャー企業は約60億円。輸送力の面でも通信衛星が大型化しているのに、日本は4トン程度の衛星しか搭載できず欧米との開きは大きい。

そこで期待されるのが次世代国産ロケット「H3」だ。衛星の大きさに柔軟に対応できるのはもちろん、機体の量産化によるコスト削減で価格を半分に抑え、世界市場に勝負を賭けるという。

今回の法制化により、高い技術力を誇る日本の民間企業が参入しやすくなれば、H3の成功にもつながり、国際競争力も向上するであろう。

2次下請けも含めれば約1000社の企業が連なるロケット産業は、日本経済のけん引役に成長する可能性がある。しっかり支えていきたい。

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