e企業版ふるさと納税 自治体の発信力強化が重要だ
- 2016.11.30
- 情勢/解説
公明新聞:2016年11月30日(水)付
企業の積極的な参画が地方創生の鍵となろう。
地域活性化を目的とする自治体の事業に寄付した企業が、税控除を受けられる「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)。国が認定した事業が対象で、8月に続く今月25日の追加決定で、その数は全国157に上っている。さらなる広がりを期待したい。
この制度には、自治体から熱い視線が注がれている。独自に地域振興策を実施したくても、財源不足に悩むところが多いからだ。
認定された事業は、観光や産業の振興など地域の特色を反映したものが並んでいる。
例えば、▽美しい丘陵景観を保全するための植樹や案内サインの整備(北海道美瑛町)▽世界遺産・白神山地の自然体験ツアーやイベントの開催(秋田県)▽日本有数の栗の生産を生かした加工品の開発(茨城県笠間市)▽宇都宮市内を走るLRT(次世代型路面電車システム)の導入に伴う道路や駐輪場の整備(同市、栃木県芳賀町)―などだ。
企業が受けるメリットにも注目したい。寄付額の約6割が法人関係税から差し引かれる。これは従来の寄付金控除の2倍に当たり、節税効果は高い。
その上、「地方創生に熱心な企業」というイメージアップ効果も大きい。自治体への寄付を通じて地域との結び付きが強まれば、新たなビジネスチャンスも生まれよう。こうした利点は企業にとって魅力的に映るはずだ。
一方、自治体にとっては、いかに多くの企業から寄付を集められるかが知恵の絞りどころだ。企業にとって魅力的な事業を立案できているのか、興味を示してくれそうな企業のリサーチができているのかなど、自治体の戦略的な取り組みが問われよう。とりわけ、情報発信力の強化が不可欠だ。
こうした試みを促すために、公明党の地方議員が先導役を果たしていきたい。企業に事業を売り込むための担当部署の明確化などは提案できるのではないか。
寄付は10万円から可能である。例え少額でも、より多くの企業が寄付活動を行うことが制度の普及に欠かせない。企業側の機運を高める啓発活動も必要となろう。