eコラム「北斗七星」

  • 2016.12.02
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年12月2日(金)付



キューバでは今、フィデル・カストロ前国家評議会議長の追悼行事が国内各地で行われている。遺灰は12月4日早朝、州都サンティアゴ・デ・クーバの墓地に埋葬される。サンティアゴは、キューバ革命が始まった町だ◆日本の野球を愛したカストロ氏は、親日家としても知られた。2003年の来日時には、広島の原爆ドームを視察し、慰霊碑に献花・黙とう。1996年にキューバを訪問した公明党創立者・池田大作SGI会長との会談では、革命以来初めてスーツ姿で公式行事に臨んだとのニュースが世界を駆け巡った◆今年9月、キューバを訪問した山口那津男代表も、「どの要人とお会いしても、党創立者が20年前にカストロ氏と会談したことに関する言及があった」(9月9日付「公明新聞」)と◆キューバ危機やソ連崩壊を乗り越えた危機管理能力、一方で経済的困窮への批判。光と影が交差した指導者への評価は分かれるにしても、卓越した人間的魅力とリーダーシップは誰もが認めるところだろう◆マスコミ紙の論評では、革命精神「人間にとって重要な資本は金ではない。人間こそが、最大の資本」を紹介した毎日新聞の『評伝』(11月27日付)が心に染みた。世界的に政治家の劣化や指導者のあり方が問われるなか、謹んでカストロ氏の人間力に学びたい。(鈴)

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