eIR法案、衆院委可決

  • 2016.12.05
  • エンターテイメント/メディア

公明新聞:2016年12月3日(土)付



公明は自主投票 依存症対策の強化必要



衆院内閣委員会は2日、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を促す「特定複合観光施設区域整備推進法案」を自民党、日本維新の会の賛成多数で可決した。公明党は、同法案の賛否を自主投票とした。

自民と旧維新の党などが共同提出した同法案は、カジノや国際会議場などの統合型リゾート施設の整備を推進する基本法。成立後、カジノ施設がすぐにできるわけではなく、政府に対し、施行後1年以内をめどに施設設置の詳細なルールなどを定める実施法の整備を義務付けている。

採決に先立ち、公明党の高木美智代さんと、濱村進氏が質疑を行った。

高木さんは、カジノ導入の違法性をなくすための措置について、明快な説明を求めた。

法案提出者の西村康稔氏(自民党)は、カジノ合法化には、刑法35条の正当行為が適用されるよう、新たな立法措置で「賭博罪に反しない制度を構築する」と答えた。

また、高木さんは、国内のギャンブル依存症対策について、不十分であり「抜本的な強化が必要だ」と強調した。

一方、濱村氏は、カジノ導入による経済効果について、海外で収益が減少している例もあるなどとして「カジノ導入の積極的な理由を明らかにしないと国民の理解は得られない」と指摘した。

法案の可決を受け、同委は、政府が実施法を整備する際、ギャンブル依存症対策の抜本的な強化などを求める付帯決議も採択した。


党議拘束を外した理由


容認・慎重など意見集約に至らず、個々の考えで判断
井上幹事長

公明党の井上義久幹事長は2日午前、国会内で記者会見し、カジノを含む統合型リゾート(IR)法案の賛否について、同日の常任役員会で党議拘束を外し、個々の議員の判断に委ねることを決めた理由などについて、大要次のような見解を述べた。

一、党内では(カジノ解禁による)賭博罪の違法性の阻却や、ギャンブル依存症対策、IR導入の経済的効果などで、さまざまな意見があった。

一、違法性の阻却、すなわち賭博行為は刑法で罰則付きで禁止されているが、別の法律を定めることで違法性をなくすことができる。これについては、「今回の法案はIR推進のための道筋を示したプログラム法であり、具体的な事項を定める実施法案を立案する段階で検証可能だ。現時点では容認しても良い」という意見があった。

一、その一方で「実施法の概要が分からない現段階では判断できない」「依存症対策などがどのように行われるのかが明らかでない」「違法性阻却に足る制度設計が、IR法案にも規定されるべきだ」「そもそも法案に反対だ」という意見もあり、党内の意見集約に至らなかった。これが理由の一つだ。

一、もう一つは、IR法案は賭博の合法化に道を開き、社会のありようにも関わることであり、国民を代表する議員一人一人が個々の地域事情も踏まえつつ、自らの考えに基づいて判断しても良いのではとの考えもあった。従って、今回は党議拘束を外し、個々の議員に判断を委ねるという結論を出した。

一、公益目的と適正な監督の下で行われるサッカーくじ(toto)導入の時にも、今回と同様に党議拘束を外した前例はある。

一、(実施法案について)今回の法案が成立すれば、実際のカジノ設置や運営に関する規定は、政府が作成する実施法で定めることになり、内閣提出法案となる。その立案には与党として、違法性を阻却するに足る内容なのかどうか、十分な依存症対策が講じられているかなどについて、責任を果たさないといけない。

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