e世界に誇れるバリアフリー都市へ
- 2016.12.05
- エンターテイメント/情報
公明新聞:2016年12月4日(日)付
2020年東京五輪・パラリンピックに向け
世界に誇れるバリアフリー都市・東京へ――。2020年の東京五輪・パラリンピックをめざして、都議会公明党は誰もが安心して生活・移動できる街づくりに力を注いでいます。前進する都の取り組みを紹介するとともに、自身も全盲ろう者である福島智・東京大学先端科学技術研究センター教授に今後の展望などを聞きました。
ホームドア
メトロ 設置率47%→74%に
駅ホームでの転落事故を防ぐため、ホームドアの設置が進んでいます。
都営地下鉄は、全4路線106駅のうち、三田線と大江戸線の全65駅で整備が完了しています(61%)。今後、19年度までに新宿線全21駅で整備し、浅草線への導入も進めます。
また、東京メトロでは、丸ノ内線、有楽町線、南北線、副都心線の4路線全駅で設置が完了しています。今後は、銀座線、東西線、半蔵門線の設置工程を前倒しします。これにより、全9路線179駅の設置率を、15年度末の47%から、20年夏までに74%にする予定です。
点字ブロック
国会で取り上げ全国へ普及
鉄道駅や歩道に整備されている点字ブロックは、日本で開発されたものです。今では世界各国に広がっています。
国内で普及したきっかけは、1973年に東京のJR高田馬場駅で起きた視覚障がい者の転落死事故でした。公明党が国会で取り上げ、同駅への設置が実現し、全国へ広がりました。
2015年度末までに都内の鉄道駅全755駅のうち、99%の750駅で整備されています。さらに、視覚障がい者がホーム側と線路側を容易に確認できる「内方線付き点状ブロック」の導入も進んでいます。
都営住宅
エレベーター導入など進む
高齢の住民が増える都営住宅のバリアフリー化も着実に進められています。
09~15年度までの7年間で、建て替えによるバリアフリー化は、計約2万5000戸に上ります。また、玄関やトイレへの手すり設置など、高齢者や障がい者の要望を踏まえた改修は、同期間で計約4万2000戸に及んでいます。エレベーターも、計235基が設置されました。
江戸川区の都営住宅に住む永井順子さん(72)は、「エレベーターやスロープが設置され、高齢者や車いすの住民たちに大変喜ばれている」と話しています。
無料Wi―Fi
外国人らも手軽にネット
外出先でも手軽にインターネットを利用できる無料Wi―Fi(ワイファイ)は、外国人旅行者や障がいのある人にとって重要な情報収集の手段です。
都営バスでは13年度から、全車両で無料Wi―Fiが使えるようになりました。都営地下鉄では外国人向けの無料Wi―Fi整備が進められており、現在、全駅構内と浅草線を走る東京都交通局の車両で使うことができます。その他の路線も20年までに順次、整備される予定です。昨年から、一部の都立公園や美術館などにも広がっています。
心のバリアフリー
ガイドライン策定
東京都は今年4月、障がい者らへの差別や偏見をなくす心のバリアフリーを推進するため、考え方や事例などをまとめた区市町村・事業者向けのガイドライン(指針)を策定しました。
都立高校では07年度から教科「奉仕」で体験活動を実施(15年度は191校)。16年度からはキャリア教育を加えた新教科としてスタートしています。
人にやさしい街づくりが活力ある社会築く
公明 障がい者の声生かす
福島智東京大学教授に聞く
――都内のバリアフリー化についての印象は。
福島 公共施設や交通機関などのハード面のバリアフリーはかなり進みました。ただ、鉄道駅のホームでは、いまだに転落事故が相次いでおり、ホームドアの早急な整備を求めたいと思います。視覚障がい者にとって駅ホームは、柵のない断崖絶壁にいるようなものだからです。
――1964年東京五輪では今につながる都市基盤の整備が進みました。4年後への期待は。
福島 人にやさしいバリアフリー都市の構築こそ、五輪後の大きなレガシー(遺産)になると思います。公明党が推進する無料Wi――Fiが広がれば、視覚や聴覚に障がいがある人でも音声や文字情報を瞬時に得ることができます。また、スマートフォンなどの自動翻訳アプリの性能も上がり、訪日外国人との意思疎通が簡単になります。誰もが必要な情報にアクセスでき、人々と交流できる情報バリアフリー都市としても次世代へつなげることができるでしょう。
――公明党はバリアフリー化に力を入れてきました。
福島 心強い存在です。公明党は、都の福祉分野の職員でさえ知らなかった私たち盲ろう者の声に耳を傾けてくれました。その結果、実現した盲ろう者通訳派遣事業や盲ろう者支援センターは、東京都から全国へ広がった一例と言えるでしょう。
――今後の課題は。
福島 公明党が先頭に立ち、子どもたちへの教育や福祉、弱い立場の人に対する施策に取り組み、心のバリアフリー化を進めていただきたい。それが活力ある社会を築く原動力になると期待しています。