e北朝鮮制裁決議 核放棄へ各国は厳格な履行を
- 2016.12.05
- 情勢/国際
公明新聞:2016年12月5日(月)付
9月に5回目の核実験を強行した北朝鮮に対し、国連安全保障理事会が新たな制裁決議を全会一致で採択した。
既に核実験から80日余。採択まで長時間を要したが、制裁の中身は格段に強化され、極めて厳しいものとなった。
これで核実験と制裁強化が繰り返されてきた「いたちごっこ」に終止符を打てるかどうか。鍵は、一に各国政府による厳格かつ忠実な制裁の履行に掛かっていよう。国際社会は結束を固め、核開発に血道を上げる"北の暴走"を断固阻止しなければならない。
今回の決議の最大の特徴は、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源となっている外貨収入を大幅に減少させる措置を取った点にある。
具体的には、最大の外貨獲得源である石炭輸出の上限を年間4億ドル(約460億円)、または750万トンに制限したほか、新たな禁輸品目として銀や銅、亜鉛、ニッケルなどを追加した。
これら一連の制裁が確実に実行されれば、現在、年間30億ドル(約3400億円)に上る北朝鮮の輸出総額は22億ドル(約2500億円)まで縮小し、外貨収入は激減する。前回3月の制裁決議にあった「民生目的は除く」との例外措置を外したため、「抜け穴」をふさぐ効果も期待できよう。
もう一つ、各国に駐在する北朝鮮外交官の数や銀行口座数などに制限を加えたことも大きな特徴だ。外交官という特権を悪用した不正な外貨稼ぎを閉め出す圧力となろう。
制裁の成否を左右するのは、北朝鮮の対外貿易の約9割を占める中国の対応である。制裁強化で北朝鮮が暴発すれば難民が流入してくることを恐れて、これまでは消極姿勢に終始してきたが、今度はどう動くか。安保理常任理事国として、率先して制裁の履行に努めてほしい。
決議の採択を受け、日本は独自の制裁強化案をまとめた。資産凍結の拡大などで、今週中にも閣議決定する。決議の実効性を高める意味でも、的確な措置と評価したい。
ただし、核開発の封じ込めは、制裁だけでは不十分なことも事実だろう。いかにしてこの国を、非核化を話し合うテーブルに座らせるか。外交努力を決して怠ってはならないことを強調しておきたい。