eコラム「北斗七星」

  • 2016.12.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年12月6日(火)付



便利な社会を追い求めた結果、私たちは気付かないうちに頭の痛い新たな問題をつくり出している。海ごみである。中でも厄介なのが、海洋に流れ出るプラスチックごみ。年を追うごとにその量は増え続け、重量ベースでは2050年までに魚の量を超えるとの試算もある◆これらは完全に溶けることなく微細化し、5ミリ以下のマイクロプラスチックとなって漂い続ける。洗顔料や歯磨き粉などのスクラブ材で使われるマイクロビーズも、排水溝を通じて自然環境中に流出している。海外ではマイクロビーズの使用規制や販売禁止を決める動きもある◆実は、日本周辺海域は海流の影響を受けてマイクロプラスチックが流れ着くホットスポットという。環境省の調査では北太平洋の16倍、世界の海の27倍も存在していることが分かった◆もはや一国だけでは対応できず、国を超えた行動が欠かせない。昨年ドイツで行われたG7エルマウサミットでは、初めて世界的に取り組むべき課題として首脳宣言に明記され、今年の伊勢志摩サミットでも発生抑制、削減に寄与することを再確認した◆食物連鎖への影響も懸念されている。まず、この現実を幅広く認識することが第一歩になる。どうすれば流出を食い止めることができるか。その解は、私たち一人一人に委ねられている。(広)

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