e公明の主張が反映された改正がん対策基本法
- 2016.12.12
- 情勢/解説
公明新聞:2016年12月10日(土)付
党対策推進本部 秋野公造本部長に聞く
治療と就労の両立支援
「難治性」「希少」の研究促進 緩和ケア、教育を充実
がん患者が安心して暮らせる社会の構築に向けた取り組みを強化するための改正がん対策基本法が9日の衆院本会議で、全会一致で可決し成立した。公明党の主張が反映されたポイントなどについて、党がん対策推進本部の秋野公造本部長(参院議員)に聞いた。
―改正の経緯は。
秋野 2006年成立のがん対策基本法に加えて、13年にはがん登録推進法が成立するなど、公明党の推進でがん対策の基盤が大きく整いましたが、新たな課題も浮き彫りになっています。例えば、医療技術が進歩し、がんは「長く付き合う病気」になる一方で、治療のために会社を辞めざるを得ないといったことがあります。そうした変化に対応するため、超党派で今回の法改正をめざすことになりました。
―公明党の取り組みは。
秋野 患者の社会生活を支える内容を盛り込ませることができました。がん患者の3割以上が離職している実態は深刻です。改正法には、事業主に対し、就労継続への配慮とともに、がん対策への協力を求める「事業主の責務」を明記しました。治療と就労の両立をめざす患者への、応援のメッセージになると思います。
また、患者と家族らの苦痛の軽減や、療養生活の質の向上に向けた緩和ケアの強化も打ち出しました。専門人材の育成ととともに、診断時から適切に緩和ケアが提供されるように改善します。これは緩和ケアの重要性を一貫して訴えてきた公明党の主張によるものです。
―公明党は予防や検診の充実に力を入れています。
秋野 一つは、予防できるがんを確実に予防するため、胃がんや肝がんの原因となり得る感染症対策を盛り込むことができました。胃がんと肝がんの罹患は全体の4分の1を占めます。胃がんの場合、原因となるピロリ菌の除菌への健康保険の適用が拡大され、死亡率が減少する効果も見え始めています。
もう一つは、検診後、必要かつ適切な診療を受けることを促す環境の整備も明記されました。これまで検診で出た結果の対応は本人に任されてきましたが、受診を避ける人が少なくありません。これでは、せっかくの検診も意味がありません。市町村や健康保険組合などの保険者に対し、検診結果に基づく受診を促す施策への協力を求める内容も盛り込まれました。発見からスムーズに治療につなぐことで重症化を防ぐことが期待できます。
―ほかのポイントは。
秋野 がん治療に伴う副作用や、難治性のがん、希少がんに関する研究の促進も盛り込みました。さらに、学校や社会における、がん教育の推進もしっかり明記しました。これらを含め、公明党が推進してきた取り組みが、きちんと法律に位置付けられたことが今回の改正の特徴ともいえます。改正法の成立を受け、その内容が国や自治体などの具体的な施策にきちんと反映されるよう、地方議員とも連携しながら取り組みます。