e韓国大統領弾劾 日韓関係改善の流れは維持を
- 2016.12.13
- 情勢/国際
公明新聞:2016年12月13日(火)付
隣国の政治が早期に混乱から立ち直ることを願うと同時に、日本との関係改善の流れが維持されるよう求めたい。
韓国の国会で朴槿恵大統領の弾劾訴追案が可決され、大統領権限は停止した。
友人の国政介入問題に端を発した一連の事件で、朴氏は与党議員を含む圧倒的多数から「ノー」を突き付けられ、職務停止に追い込まれた。韓国政府は、内外への影響を最小限に抑えるよう努めるべきだ。
今後、憲法裁判所が180日以内に訴追が妥当かどうかを判断する。その間の大統領職務は黄教安首相が代行するが、野党や国民による朴氏の即時辞任を求める動きは収まっておらず、韓国政治は依然、不安定なままだ。憲法裁による真相究明を注意深く見守っていきたい。
懸念すべきは、北朝鮮が韓国の政治空白を突く可能性があることだ。
北朝鮮は核・ミサイル開発を強行し、東アジア地域の緊張感を高めている。10月以降はミサイル発射を控えているものの、国連安全保障理事会が新たな制裁決議を採択したことに反発し、軍事的挑発の脅威を強めようとしている。
弾劾訴追案の可決を受け、韓国政府は防衛態勢に万全を期す方針を示しているが、北朝鮮の脅威に対処するため、日米韓3国は連携をさらに深めていくべきだ。
日韓関係に与える影響も小さくない。
この1年、両国の関係は改善に向かっていた。昨年末、慰安婦問題に関する合意に達し、11月には、防衛機密の共有を可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結した。また、観光を主軸とする相互交流を年間1000万人に拡大する目標を共有するなど、さまざまな分野で協力関係が進んでいる。
韓国では現在、次期大統領選に向けた動きが活発化しているが、野党はもとより、与党内でも朴氏との距離を取るため、朴政権が進めた政策を否定する可能性が高まると指摘されている。しかし、改善しつつある日韓関係を逆戻りさせてはならない。
将来にわたる良好な関係を築くことが、日韓両国にとって共通の利益となることを強調しておきたい。