e将来の給付水準確保
- 2016.12.14
- 情勢/社会
公明新聞:2016年12月14日(水)付
参院厚労委 年金改革法案を可決
●年金額改定ルールを見直し
●中小のパート労働者にも厚生年金
●産前産後の国民年金保険料を免除
熊野氏が賛成討論
将来世代の年金の給付水準を確保するため、年金額改定ルールの見直しなどを盛り込んだ年金制度改革法案が13日夕、参院厚生労働委員会で自民、公明の与党両党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。同法案は14日の参院本会議で成立する見通し。
改定ルール見直しは、決められた財源(現役世代からの保険料収入、国庫負担、積立金)の範囲内で現在から将来までの給付を賄う年金制度の持続可能性を高めることが狙い。年金の支え手である現役世代の賃金(負担能力)が下がるような不測の経済状況になった場合は、それに見合った年金額とするよう改める。
少子高齢化に合わせて年金給付を抑制していく「マクロ経済スライド」については、物価や賃金が下がるデフレ時は今まで通り給付の抑制を行わないものの、できる限り抑制を先送りしないようルールを強化。デフレ時に見送った抑制分を翌年度以降に繰り越し、物価や賃金が上がって年金額が増える景気回復期に、繰り越し分も含めて年金額の伸びを抑える調整を行う。
さらに同法案では、中小企業で働く短時間労働者も、労使合意があれば厚生年金が適用される仕組みを導入。国民年金に加入する女性を対象にした、出産前後4カ月間の保険料免除制度も創設することとしている。
採決に先立ち、同委員会で賛成討論を行った公明党の熊野正士氏は、改定ルール見直しについて「現役世代が今後受け取る年金水準の低下を防ぎ、若い世代が安心して高齢者の年金を支える仕組みにする重要な改正だ」と訴えた。
一方、国民年金の産前産後期間の保険料免除については、公明党が強く主張してきたと述べた上で「年金の保障機能を強化すると同時に、次世代育成支援にも資する極めて重要な措置だ」と力説した。
不測の経済状況に備え 三浦氏へ厚労相答弁
これに先立つ参院厚労委の審議で公明党の三浦信祐氏は、同法案に年金額改定ルールの見直しが盛り込まれた意義を強調し、「現行制度のままであった場合、どのような弊害が生じるか」と説明を求めた。
塩崎恭久厚労相は、これまで物価や賃金の下落時に年金額を下げなかったため、将来の給付水準が低下する見通しであるとした上で、「ルール見直しを行わないとすれば、今後、賃金が低下するような不測の経済状況になった場合に将来の基礎年金の水準は、より低下する恐れがあり、それを未然に防ぐために見直しは必要だ」と答えた。
また三浦氏は、「年金制度は複雑で理解が深まりづらい」と指摘し、特に若い世代に向けた年金教育の充実を訴えた。