e地震保険 生活再建に果たす役割大きい
- 2016.12.20
- 情勢/解説
公明新聞:2016年12月20日(火)付
ある日突然、大地震が起きて自宅が焼けてしまった。ぼうぜんとしながらも、火災保険に加入していたのが唯一の救いだと思ったら、保険金がほとんど入らない......。国民がこんな事態に陥らないよう、知恵を絞りたい。
内閣府は今月、大規模な地震や台風などの災害に備えた保険の加入を促すための有識者検討会を立ち上げた。災害列島・日本において、国民の生活と財産を守るための議論を進めてほしい。
火災保険では、建物や家財が燃えてしまった場合の損害を補償しているが、地震による火災や建物の倒壊などは補償の対象外だ。保険金を受け取るには、火災保険とセットで地震保険に加入している必要がある。また、津波被害についても地震保険でなければ補償されない。
地震保険は、政府と民間の損害保険会社が共同で運営しており、保険料は住んでいる地域や建物の構造で異なる。補償額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で損傷に応じて支払われ(建物は5000万円、家財は1000万円が限度額)、住宅再建・生活再建の負担軽減に大きな役割を果たす。
東日本大震災の影響もあり加入が増加傾向にはあるものの、昨年の地震保険の世帯加入率は3割ほどにとどまっている。
公明党の推進で保険料の所得控除制度などが実現したが、地震被害に遭った時に受け取れる保険金と比べ、支払う保険料の額が高い"割高感"が加入率低迷の原因とみられる。
検討会では、保険加入のメリットを分かりやすく国民に伝える方策や、保険料がより低額な商品の開発などについて議論を深める必要がある。
被災者に対する公的支援には財政的な制約があるという点からも、地震保険の加入促進が望まれている。
例えば、30年以内の発生確率が70%とされる南海トラフ地震の場合、被災者生活再建支援金の支給総額は8兆4000億円と試算されている。東日本大震災の約3280億円(10月現在)と比べて桁違いに大きな額だ。
被災後に一日も早く暮らしを立て直す上で、地震保険に加入する意味は小さくない。