e労働生産性の改善 働く意欲高める改革に道筋を
- 2016.12.22
- 情勢/解説
公明新聞:2016年12月22日(木)付
働く人の希望に沿った多様な働き方の促進は、人手不足が課題の日本経済を再生させるカギである。そのためには、「労働生産性」を底上げする努力が重要だ。
労働生産性は、労働者が1時間当たりでどれくらい効率的にモノやサービスを生産できるかを測る指標である。日本生産性本部が、経済協力開発機構(OECD)の加盟35カ国の昨年の労働生産性を分析調査した結果、日本は20位で、主要7カ国(G7)では最下位だったことが明らかになった。
1位は国際的な金融産業が盛んな欧州のルクセンブルクだ。金額で測った同国の労働生産性は約1万円で、日本(約4400円)と比較して2倍以上も高い。この差をどう縮めるか。
日本の労働生産性が低い理由として、長時間労働の常態化で時間当たりの労働成果が過小評価されていることに加え、正社員より低賃金で働く非正社員が増えている点が指摘されている。
ただでさえ人口減少による労働力不足が懸念されているさなかだ。働く人の4割を占める非正社員の労働意欲を向上させ、労働生産性を高めるべきだ。ここに、同一労働同一賃金の必要性がある。
政府は20日、同一労働同一賃金の実現に向けたガイドライン(指針)案をまとめた。指針案は、正社員と非正社員の基本給について不合理な差を認めないとしたほか、非正社員に昇給や賞与を認め、時間外手当の割増率などについても正社員と同じにするよう要請している。公明党が先に発表した「働く人の立場に立った働き方改革の実現に向けた提言」を反映しており、評価したい。
政府は、指針案が実際に運用されるよう、今後、労働契約法などの改正案を取りまとめる考えだ。人件費の急増が企業経営に与える影響にも目配りしながら、同一労働同一賃金の議論を深めてほしい。
日本の労働生産性は米国の6割程度と低迷しており、1980年代とほぼ変わらないとされる。この現状を打開し、持続可能な経済成長を実現する道筋を付ける点からも、同一労働同一賃金を含めた働き方改革を急がなければならない。