e教育充実、総活躍へ前進
- 2016.12.26
- 情勢/解説
公明新聞:2016年12月25日(日)付
17年度予算案石田政調会長に聞く
給付型奨学金を創設
保育士給与、自公政権で10%増
政府は22日、2017年度予算案を閣議決定しました。そのポイントや公明党の主張が反映された点などについて、公明党の石田祝稔政務調査会長に聞きました。
―2017年度予算案のポイントは。
石田祝稔政務調査会長 一つは、返済の必要がない給付型奨学金の創設など教育を重視する政府・与党の姿勢が明確に示されたこと。もう一つは1億総活躍社会に向け、保育士や介護士の処遇改善など必要な施策を盛り込んだことです。
給付型奨学金は、当初、政府・与党内でも慎重論がありましたが、経済的理由で進学を断念する子どもをなくすという公明党の粘り強い主張が実りました。これは公明党なくして実現しなかったものです。
このほか、無利子奨学金は低所得世帯の子どもの成績基準を実質的に撤廃し、発達障がいのある子どもを別室で教える通級指導の教員を拡充。大学授業料の免除枠も拡大します。これまで下がり続けてきた国立大学法人の運営費交付金も来年度は増額します。
公明党は、一貫して教育を重視してきた党であり、17年度予算案を、新たな教育立国をめざす第一歩としたいと考えています。
―保育士や介護士の処遇改善はどうなりますか。
石田 待機児童問題は、自公政権が取り組む最優先課題の一つです。保育士は仕事が大変なのに給料が少なく、離職する人が後を絶ちません。このため、賃金を来年度から約2%引き上げます。その上で、経験を積んだ人が評価され離職しなくてもいいように、7年以上保育士としての経験があることなどを条件に月4万円をさらに上乗せします。経験3年以上の若い人の場合も、研修修了を要件に月給5000円を加算します。この結果、保育士の給与は自公政権が予算を組んだ13年度以降、合計で約10%上がることになります。
介護士も、昇級の仕組みのある事業所に、1人当たり月額1万円相当の加算をします。
70歳以上の高額療養費 低所得者は据え置き
―来年度予算案の概要について。
石田 一般会計の総額は約97.5兆円となっています。また、自公政権による経済政策で税収は約57.7兆円となり、26年ぶりの高い水準です。一方で、新規国債発行額は今年度当初予算を622億円下回り、7年連続の減額です。
政府内には、社会保障費を抑えるため、高額療養費制度に関し、年収370万円未満で住民税を払っている70歳以上の高齢者には、外来診療の医療費負担の上限を今の月1.2万円から倍増させる考えがありました。しかし、公明党が断固として反対し2000円増にとどめました。さらに、年間支払い額の上限を現行と同じ1.2万円の12カ月分である14.4万円とし、年間で見れば頻繁に通院する高齢者の負担は増えません。
なお、住民税非課税の人は従来通り据え置きにしました。
健康守る働き方改革推進
公共事業 防災・減災対策に重点
―働き方改革も注目されています。
石田 公明党は安倍晋三首相に対し、19日に働き方改革の提言を行いました。公明党の提言を踏まえ来年度予算案では、退社から次の出社まで一定時間を空ける「勤務間インターバル制度」を自発的に導入した中小企業を支援します。非正規社員を正社員にした企業への助成金も増額し、諸手当制度などを改善した企業への助成拡充に564億円を確保しています。
―このほかには。
石田 今年も熊本地震をはじめ、各地で大きな災害が頻発しました。こうした災害での被害を最小限にとどめるため、公共事業は、豪雨や台風を踏まえた防災・減災対策などに重点化していきます。今も多くの人が東日本大震災と東電福島第1原発事故に伴う被害に苦しむ福島の生業再生など、防災・復興対策に引き続き全力で取り組みます。
また、地方の先駆的な取り組みを支援する「地方創生推進交付金」も引き続き措置したほか、旺盛な訪日客需要を成長につなげるため、観光庁予算も増額しています。
財政健全化にも目配りしながら、幅広い分野に手当したバランスの良い予算案になったと考えています。