eノロウイルス流行 ピークはこれから。 予防第一で
- 2016.12.27
- 情勢/解説
公明新聞:2016年12月27日(火)付
ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数が例年を上回るペースで増えており、今後の流行拡大に注意が必要だ。高齢者や子どもは重症化しやすく、こまめな手洗いなど予防対策を心掛けたい。
国立感染症研究所によると、全国約3000の小児科から報告された患者数は6万1547人で、1医療機関当たり19.45人。昨年の同時期と比べて3倍近く、13都県では警報レベルの20人を超えた。
さらなる感染拡大の可能性が指摘されるが、ノロウイルスには有効なワクチンがなく、発症した場合は脱水症状や体力の消耗を防ぐため、水分や栄養の補給などの対症療法に頼るしかない。やはり予防が第一である。
厚生労働省は、食事前やトイレ後の手洗いの励行、食品を扱う人の健康管理や調理器具の消毒などを行うよう呼び掛けている。手洗いについては「2度洗い」が有効だ。「ハンドソープによるもみ洗い10秒→流水で15秒すすぎ」を2回繰り返せば、10万分の1未満までウイルスを減らせる。
感染の疑いがあれば、保健所や医師に相談してほしい。症状が出た人は食品の取り扱いを避ける。感染者が使ったり吐しゃ物が付いた物は分けて洗浄、消毒する。こうした二次感染対策も欠かせない。
宮城県では、水揚げされたカキからノロウイルスが検出され、県内全ての海域で生食用カキが出荷停止に追い込まれた。26日に一部再開が決まったが、人間が持つウイルスが下水を通じてカキに感染したと見られる。
国土交通省の下水道に関する調査書によれば、カキなど貝類の汚染は、下水処理場などの水に含まれる微量のノロウイルスが川から海へと流れ出ることが一因とされる。
ただ、除菌技術も進みつつある。特に有効とされるのが、「膜分離活性汚泥法(MBR)」といわれるフィルターを使う手法だ。ノロウイルスを99.99%除去する結果が出ており、既に採用する自治体もある。他の自治体も導入を検討してはどうか。
感染はこれからがピーク。今のところ患者の中心は子どもだが、今後は大人への拡大も懸念される。体調を整え、衛生管理に留意しながら、年末年始を迎えたい。