e国連新事務総長就任 日本は人道支援で貢献強めよ
- 2017.01.05
- 情勢/国際
公明新聞:2017年1月5日(木)付
「国連は多国間主義の土台だ」―。国連新事務総長に就任したアントニオ・グテレス氏は3日、国連本部に初登庁し、その役割を強調した。
英国の欧州連合(EU)離脱に見られるように、国際社会は今、保護主義や排外主義が勢いづく。今月20日に就任する米国のドナルド・トランプ次期大統領も「米国第一」を掲げる。こうした内向き志向に対し、多国間主義の象徴でもある国連が、どう存在感を発揮していけるのか、大いに注目したい。
元ポルトガル首相のグテレス氏は、国連の難民高等弁務官を2期10年務め、中東・アフリカ地域の難民問題などへの対応に奔走。昨年10月、加盟国の圧倒的な支持を得て、次期総長に選出された。任期は今月1日から5年間だ。
国際情勢は不透明感を増している。テロの防止や紛争の解決など、世界の平和と安定に大きな役割を担う国連に対する期待が一層高まることは間違いない。貧困問題や難民援助、感染症や地球温暖化などへの対策も、ますます求められよう。
グテレス氏には加盟国間の意見を調整しながら、大国にも臆すことなく、堂々と指導力を発揮してほしい。
国連を支える日本が果たすべき責務も、今後さらに重みを増すことが予想される。
例えば、飢餓の根絶や環境対策などについて、2030年までの国際目標を示した「持続可能な開発目標(SDGs)」の積極的な推進が挙げられる。"第2の国連憲章"とも評され、今後の国際協調の軸になると見られている。
これには、日本政府と公明党の推進により、貧困などの脅威から人間を守る「人間の安全保障」の理念が盛り込まれた。それだけに、国連が行う人道支援をグテレス氏と意識を共有して進めたい。
また、政府は昨年末、SDGs達成に向けて日本が特に注力すべき優先課題を盛り込んだ実施指針を決めた。内容は▽あらゆる人々の活躍の推進▽健康・長寿の達成▽省・再生可能エネルギー―など8分野だ。これも公明党の要望が反映されたものである。
SDGsの取り組みで旗振り役を務めることは、日本の国連への貢献の大きな柱であることを強調しておきたい。