eコラム「北斗七星」
- 2017.01.06
- 情勢/社会
公明新聞:2017年1月6日(金)付
休み明けの仕事始め、ゆるんだ頭と体に、通勤電車の混雑はこたえる。特に、周りの顔の険しさには、腰が引けそうだ。こんな中にベビーカーで乗り込むお母さんは大変だ◆3回にわたる国土交通省の調査(2015~16年)によると、電車やバスにベビーカーを折りたたまず乗り込めることについて、「反対」「どちらかといえば反対」が10~21%ある◆14年3月、国交省と鉄道・バス会社などは、原則としてベビーカーを折りたたまないまま利用できるという方針を決め、特に優先場所にはベビーカーマークを掲示するよう定めた。しかし反対の意見は、その議論前の11年調査時の10.9%と同程度かむしろ増えていることが気になる◆欧州4カ国、韓国の5カ国と日本を比較した調査(13年)がある。日本人が、電車やバス利用時に不快または迷惑と感じる行為は他の国と比べて段違いに多い。もちろんベビーカー利用についても同じ。その一方で、母子に場所を空けたり、乗り降りの順番を譲ったり手助けする割合は極端に低い◆ベビーカーと子ども、そして荷物。お母さんたちは20キロ前後抱える。好んで通勤電車に乗るわけではない。通勤のイライラも分からないではないが、ちょっと歩みをゆるめてみては。子育てに優しい社会が、ぐんと近づくに違いない。(繁)