eケニアの医療現場を視察して

  • 2017.01.06
  • 情勢/国際

公明新聞:2017年1月6日(金)付



「スナノミ症」の克服を
保健省長官と会見 日本の支援に強い期待
手記  秋野 公造 参院議員



昨年12月19日から21日まで、アフリカのケニアで、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一つであるHIV/エイズ、結核、マラリアの克服に関する調査とともに、スナノミ症についての診療支援と調査を行いました。

スナノミ症は、スナノミという砂地に生息するノミによる寄生虫皮膚感染症です。主に足の趾間(指と指の間)、爪の周囲、かかとに感染し、強いかゆみと痛みを伴い、適切な治療が行えないと足の壊死による切断や歩行不能に陥るのみならず、二次感染で敗血症などを併発し命にかかわる疾患です。

私は同国エスンバ村で、現地で推奨する消毒法を実施した後に、治療として患者の患部を切開。皮下から白色や黒色の塊をそれぞれ除去し、長崎大学ケニア拠点にある実体顕微鏡で観察しました。その結果、約1~2センチメートルもの白い塊は、吸血しながら巨大化した一匹の虫で、黒くなった塊から虫と多数の虫卵を確認しました。

21日には、植澤利次ケニア大使と佐野景子国際協力機構(JICA)所長も同席し、医師でもあるクレオパ・マイル保健省長官と会見。特に、結核のまん延防止などに関する日本の知見と、スナノミ対策に関する現地調査の報告と意見交換を行いました。

クレオパ保健省長官は、これまでの日本の支援に謝意を述べ、スナノミ症についても昨年3月3日にスナノミの日を制定したばかりであり、その克服に向けた日本の支援を強く期待するとの意向が示されました。

貧困を背景に、深刻な感染症が重複して村民を苦しめています。現地では、患部の消毒のための薬品と水が不十分で、予防には、家屋の消毒と命を守る手段としての「靴」などの支援が求められています。対策の裏付けとなるスナノミ自体の研究も喫緊の課題です。

ケニアとの関係は重要であり、日本にも流入しているスナノミ症の克服は両国民の命を守ることにもつながります。現地で得られた調査結果をもとに、具体的な支援策をまとめ、政府に働き掛けていきます。

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