eコラム「北斗七星」

  • 2017.01.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年1月7日(土)付



ミダース王は触れたもの全てを黄金に変える力をもらい、調子に乗っていた。だが、程なくその力を返上してしまう。ギリシャ神話に登場する物語だ◆パンや水まで黄金になり飢餓に陥ったことで、力が元凶と悟ったからだ。とはいえ「超の付く力はいらぬが、お金があれば」と考えるのは世の常。1等と前後賞合わせ10億円に上る昨年末のジャンボ宝くじが注目を集めた訳も、そのあたりにあろう◆実は、宝くじの歴史は古い。江戸初期に大坂のある寺が箱に入れてもらった名前の木札から、数人を選びお守りを授けたのが始まりだ。後に、「富くじ」に変わり財産を失う人が続出。天保の改革で全面禁止に。復活したのは1945年からである◆今年は年頭から調子がいい。ミダース王ではないが、金回りが良いのだ。トランプ次期米国大統領の政策への期待感から、日経平均株価は年初の取り引きとしては4年ぶりに値上がり。大手デパートの初売りも好調で、15%増えた大阪市内の百貨店も◆日経によれば、多くの経営者は「景気の緩やかな回復が継続」と見る一方、キーワードでは「トランプ」「不確実性」「変化」との回答が目立った。経済再生へ超の付く処方箋などなく、「たら・れば」の言説も無意味だ。政府・与党、経済界双方に、想定外をも受け止める覚悟と応戦力が求められている。(田)

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