eコラム「北斗七星」
- 2017.01.10
- 情勢/社会
公明新聞:2017年1月9日(月)付
成人の日。冬の殺風景な街を華やかなものに変える若者の姿は見ていて好ましい。いるだけで周囲が明るくなるから不思議だ。20歳の人に限らず次世代を担う若者たちに心からエールを送りたい◆1968年のきょう、東京五輪で日本陸上界に唯一メダルをもたらした27歳の若者が自ら命を絶った。マラソンランナーの円谷幸吉さん。「もうすっかり疲れ切ってしまって走れません」などとしたためた遺書を残して◆彼の無二の親友でマラソンランナーの君原健二さんは同年10月のメキシコ五輪で「日の丸を掲げることを誓う」という弔文を送り、銀メダルに輝いた。その君原さんが公明党の出版物である点字「こうめい」にかつて随筆を寄せた◆そこで君原さんは「紙を何十枚も積み重ねたならば、その厚みが次第に目に見えてくるように、何十回も努力を積み重ねたならば、その努力の成果をはっきりと見ることができるようになる」と◆だから「グラウンドを走る時、ゆとりのあるような場合、1メートルでも2メートルでも、他人よりもアウトコースを走る努力を、惜しむことなく取り組むことができた(1メートルアウトコースを走ると、1周で6メートル28センチも多く走っていることになる)」と◆「努力は人間に与えられた最大の力」(君原さん)。月日をへても輝きを失わない言葉だ。(六)