e訪日客2000万突破 増加に必要 地方空港の国際化

  • 2017.01.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年1月12日(木)付



日本を訪れる外国人観光客数が右肩上がりに伸びている。これをどう地方の活性化に結び付けるか。今後の大きな課題である。

2016年の訪日客数は、前年比22%増の推計2403万9000人だった。初めて年間2000万人を突破し、過去最高を更新した。民主党政権下の12年と比べ、自公政権の4年間で1550万人以上も増えた計算になる。

増加の要因としては、入国に必要な査証(ビザ)の発給要件を緩和したことや、消費税の免税制度を拡充したことなどが挙げられている。買い物、飲食、宿泊など消費の裾野拡大が期待できる訪日客の増加は、日本の成長戦略の一つの柱だ。経済成長が続くアジア諸国をはじめ、さらに多くの訪日客を呼び込みたい。

気になるのは、地方への波及効果が限られることだ。

訪日客の9割は、成田、羽田、関西などの主要7空港を利用し、東京や富士山、京都、大阪などを巡る「ゴールデン・ルート」にあるホテルや観光地が混雑している。その一方で、首都圏、近畿圏以外の地方を訪問した訪日客は、全体の56%にとどまる。

政府は訪日客数を20年に4000万人、30年に6000万人まで増やす目標を立てているが、ゴールデン・ルートに依存したままでは、空港の発着枠や宿泊先が不足する事態が避けられそうにない。

目標達成には、やはり訪日客を分散させ、列島全体で迎え入れる取り組みが不可欠だろう。わが国の課題である地方創生に大きく寄与する視点からもこの問題を考えたい。

その意味でも、まずは地方の観光スポットの魅力を高めることが最優先だが、同時に、訪日客を呼び込む上で欠かせないのは地方空港の国際化である。

国土交通省は17年度予算案で、地方空港に新規就航した国際線の着陸料を最大で3年間無料にしたり、出入国管理施設や手荷物搬送装置などの整備費を補助する支援策を盛り込んだ。地方空港の利便性を高めることは、訪日客が地方に目を向けるきっかけになる。

ゴールデン・ルートにはない魅力で訪日客を引きつけられるよう、国による後押しを引き続き求めたい。

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