eコラム「北斗七星」
- 2017.01.17
- 情勢/社会
公明新聞:2017年1月17日(火)付
「背水の陣の政権運営で、失敗は許されないとの緊張感が張り詰めている」。4年前の政権交代直後に公明党幹部から聞いた言葉だ。当時は3年に及ぶ民主党政権の下で、日本経済はデフレにあえぎ、国民は先行きに強い不安を抱いていた◆そこで自公政権の再登板となったが"この政権が針路を間違えると、もう次はない"との重圧はものすごかったに違いない。果たして、日本経済はようやくデフレ脱却に手が届き、雇用に希望が見いだせるところまでこぎ着けた◆党幹部の発言を思い出したのは、年明けに会った知人が「世界を見ると、今の日本の政治の安定は大きな財産だ」としみじみと語っていたからだ。世界を見渡せば、米国のトランプ新政権発足や英国の欧州連合(EU)離脱など不透明極まりない◆激動の背景として、年頭から各紙は格差の拡大に伴う反グローバリズムやポピュリズム(大衆迎合主義)の広がりを指摘した。知人も報道を目にしたのだろう、「あの民主党政権による失敗で、他の国に比べて日本では受け狙いの政治を信用しなくなっている」とも言っていた◆20日には通常国会が始まり、トランプ大統領が就任する。政治に注目が集まる中で、自公政権が、政治の安定を基にどう内外の諸課題を乗り越えていくかが問われる。初心忘れるべからずだ。(辰)