eコラム「北斗七星」

  • 2017.01.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年1月25日(水)付



「勧進相撲興行の地」。大阪市西区の関西公明会館からほど近い南堀江公園にある碑文の一節だ。1692年(元禄5年)、碑の付近で最初の相撲興行があったらしい◆興行収入は10日間で銀186貫目。現在のお金で3億円に相当する。実は、宝暦年間の1751年から63年ごろには江戸で年2回、京都、大阪で各1回の本場所開催が定例化。なかでも大阪場所は、堀江新地と難波新地の2カ所で行われていた◆相撲が大阪で根強い人気を保ってきた遠因の一つだろう。その大阪で3月開かれる大相撲春場所に、早くも熱い視線が注がれている。現役の日本出身力士の中で長く期待を集めてきた大関稀勢の里の横綱昇進がきょう正式に決まり、大阪が横綱としての初土俵の場となるからだ◆大相撲初場所千秋楽で37回の優勝を誇る横綱白鵬を破り、初の天皇賜杯に花を添えた稀勢の里。角界一の人気は決して平坦ではなかった相撲道に人々が心を寄せている証しでもある。"次点"で優勝を逃すこと12回。大関在位31場所目での初優勝は昭和以降の大関では最も遅かった◆ここ一番の弱さを克服し、つかんだ賜杯。「誰よりも稽古していた。泥だらけ、血だらけになってね」(西岩親方=元関脇若の里/日経)。小事の積み重ねが大事を成し、修練の、その先に、勝利がある。大阪での熱戦が楽しみだ。(田)

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