e山口代表の参院代表質問(要旨)
- 2017.01.26
- 政治/国会
公明新聞:2017年1月26日(木)付
政治姿勢
2017年、新たな年を迎えました。安倍連立政権は発足から5年目となりますが、経済再生、1億総活躍、働き方改革など、国民生活の安全・安心・安定への歩みを止めるわけにはいきません。
一方で、世界に目を転じれば、英国のEU(欧州連合)離脱、トランプ米国大統領の誕生などにより世界経済の先行きに不透明感が増し、さらにはテロや災害など不安定な社会情勢も広がっています。各国が社会のあり方や秩序を求めて模索を続けていると言ってもいいでしょう。従来の常識や想定を超えて世界が動く――わが国も、こうした心構えを持ちつつ、国際社会の動向に柔軟に対応し、国内政治を進めていくことが求められます。
その中で日本の政治は、安定した政治状況の下、経済再生や平和外交など、着実な成果を上げてきました。政権基盤のさらなる安定を図り、内外における責任を果たしていくためには、政権を担当する自公両党が、決しておごることなく、国民のニーズに的確に応える不断の努力を積み重ねていかなければなりません。安倍政権の使命はますます重大であり、その一翼を担う公明党は国民目線で、与党としての責任を全うしていく所存です。
平和外交の展開
核廃絶のリード役果たせ
はじめに、安倍首相が進める「地球儀を俯瞰する外交」に関して質問いたします。
昨年は、G7(主要7カ国)伊勢志摩サミットの成功をはじめ、その後のオバマ大統領の広島訪問、さらには、安倍首相の真珠湾訪問など、平和外交を大きく展開する1年となりました。
今年に入ってからも、安倍首相は、アジア、豪州を歴訪されるなど、積極的な外交を展開しており、引き続き、地域の安定と繁栄のため、平和国家にふさわしい貢献をお願いしたいと思います。
日米関係
米国では、トランプ大統領が正式に就任し、新たなスタートを切りました。戦後、日米両国は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった基本的価値を共有し、強固で広範な日米同盟を築き上げてきました。
わが国の外交・安全保障の基軸である日米同盟の絆を深め、トランプ新政権との基本的な信頼関係を構築していくためにも、早期に首脳会談が行われることを期待します。
日中、日韓関係
今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年の節目に当たります。これまで進めてきた経済交流や人的交流など幅広い分野における取り組みを官民挙げて行うとともに、両国関係を発展させ、この節目にふさわしい具体的な取り組みを検討すべきです。わが党も政党間交流などを通じて日中関係発展のために尽力をしていきたい。
また、日中韓サミットの枠組みによる対話は、非常に重要です。現在、韓国内での政治の混迷もあり、早期開催が難しい状況にありますが、議長国として、粘り強く対話を重ね、早期開催が可能となるよう強く期待します。
日・EUなど経済連携協定の推進
貿易立国であるわが国にとって、貿易や投資の自由化・円滑化を進める経済連携協定の締結は極めて重要です。
温暖化の国内対策 水素エネの活用焦点
日・EU経済連携協定(EPA)の締結に向けた交渉は、大詰めを迎えていますが、畜産物等の重要品目に配慮しつつ、可能な限り早期に大筋合意がなされることを強く求めます。
並行して、日中韓の自由貿易協定(FTA)や東アジア地域の包括的な経済連携(RCEP)、さらに昨年、私が訪問したコロンビアとの経済連携など、各国との交渉を積極的に進めるべきです。
米国のTPP(環太平洋連携協定)離脱や英国のEU離脱を踏まえ、わが国の通商戦略や海外進出する日系企業への影響が懸念される中、二国間、多国間の経済連携をどのように進めるのか、見解を求めます。
唯一の戦争被爆国
昨年は、核兵器廃絶に向け、大きな進展がありました。この流れを加速させるため、唯一の戦争被爆国であるわが国は、主導的な役割を果たすべきです。
「核兵器のない世界」を実現するためには、核保有国と非保有国が協力して現実的かつ具体的な措置を積み重ねていくことが不可欠です。
日本は、過去23年間にわたり核廃絶決議を提案し、昨年の決議は、米国を含む167カ国の幅広い支持を得て国連総会で採択されました。この決議は、核保有国と非保有国が協力し、「核兵器のない世界」へ向けて現実的な道筋を示すものです。
他方で、核兵器禁止条約の交渉を開始する決議も採択されました。わが国が反対したのは、核保有国が全て賛成しない中で、保有国と非保有国の対立を一層助長しかねない懸念があったからと認識しています。しかし、決議が採択され具体的な交渉が始まる以上、積極的に議論に参画し、より良い結果となるよう尽力すべきです。
また、NPT(核兵器不拡散条約)の体制強化に向けた日本の役割も重要です。
人間の安全保障
深刻化する貧困や飢餓、感染症など国境を越えた脅威から人々を守る「人間の安全保障」――その理念に立脚した持続可能な開発目標2030アジェンダ(SDGs)がスタートして1年が経過しました。
その取り組みを促進するため、わが国は、NGO、NPO等の多様な主体と連携しつつ、積極的な貢献を果たすべきです。
具体的には、わが国の知見・経験を生かした「防災の主流化」を進めることが重要です。「1ドルの防災事前投資が7ドルの復興コストに匹敵する」といわれるように、防災は、人命を守るだけではなく復興コストを抑制し、貧困撲滅と持続可能な開発に寄与します。
また、「誰一人取り残さない」とのSDGsの理念は、広く未来を担う子どもたちの心に深く刻んでほしい重要な考え方です。そのため、教育の中に、具体的には学習指導要領に基づいてSDGsに関する学習を進めることを強く求めたい。
パリ協定の発効
京都議定書に続く温暖化対策の新たな国際的枠組みとなる「パリ協定」が発効しました。
パリ協定の特徴は、途上国を含む協定参加国が二酸化炭素(CO2)の削減目標を掲げ、その削減達成をめざす点にあります。その意味から協定の成否は途上国が握っています。それには、協定に盛り込まれた環境協力を通じて途上国の二酸化炭素の排出量を削減する「二国間クレジット制度(JCM)」の活用が重要です。JCMで自国の削減目標の達成も進めつつ、わが国の低炭素技術なども相手国に普及できるJCMは有益な仕組みです。
ただそれでも、温室効果ガス削減の本命は国内での削減です。そのためには、再生可能エネルギーの普及を図ることはもちろん、今後は水素エネルギーの活用が焦点になってきます。一例を挙げれば、簡便に低炭素な高圧水素ガスを製造する機器の実用も始まっており、こうした取り組みの普及が急がれます。
経済再生と地方創生
中小の賃上げ支援さらに
これまで安倍政権では、デフレ脱却、経済再生を第一に取り組んだ結果、国内景気は緩やかながら回復基調が継続しています。過去4年間で企業業績は改善し、雇用の安定や賃金の上昇をもたらすなど、その成果は着実に表れています。
そして重要なことは、経済成長の成果を一人でも多くの人々にゆきわたらせていくことです。経済成長一辺倒では格差が生じます。
社会の実態に目を凝らせば、かつての高度経済成長期と比べ、社会構造が大きく変わっています。少子高齢化が進み、働いて賃金を得て生活する人ばかりでなく、年金等で生活を支える人々も増えました。
生活者の目線で、経済成長の果実を適切に分配し、「希望がゆきわたる」社会を構築していくことが持続可能な経済成長の基盤ともなります。
そうした中、2017年度の税制改正、予算案では、中小企業の所得拡大の促進や、設備投資、イノベーション創出による生産性の向上、さらには、働き方改革、無年金対策、奨学金制度の充実など、安倍政権が進めてきた「成長と分配の好循環」をさらに後押しする施策が盛り込まれており、早期の成立、執行が欠かせません。
第4次産業革命
経済の好循環をより確かなものとするには、全事業者の9割を占める中小企業・小規模事業者への重点的な支援が欠かせません。経営者の高齢化や雇用環境の改善による人手不足など、中小企業を取り巻く環境は深刻であり、「後継者が決まらない」との理由から黒字企業の廃業も増えつつあります。
こうした課題を解決するには、第1に中小企業の継続的な賃上げ支援が必要です。
来年度の税制改正では、公明党が要望した固定資産税の軽減措置の拡充や賃上げを行う企業への支援強化が盛り込まれました。また、下請取引条件の改善や社会保険・労働保険料負担の軽減など、中小・小規模事業者の賃上げや設備投資を後押しする支援策も求めてきました。
第2に、企業の「稼ぐ力」を強化することが必要です。そのためには、生産性の向上が不可欠であり、その鍵を握るのが、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、人工知能(AI)等を活用した「第4次産業革命」の推進です。わが国が誇る高い技術力を生かした技術や商品を、国内外に展開する販路開拓支援を強化し、企業の収益力向上や継続的な賃上げへとつなげるべきです。
地方創生
地方創生は、日本を元気にするための最重要テーマの一つです。
本年は、地方創生の5年間の政策目標などを示した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定から3年目に突入します。
昨年、ほぼ全ての都道府県、市区町村で「地方版総合戦略」が策定されていますが、国においては、この総合戦略の本格的な実行に際して、PDCA(計画、実施、評価、改善)サイクルが十分に機能しているかを含め、きめ細かな支援を継続すべきです。
また、地方創生を進めるには、その取り組みを下支えする若い世代が集まる流れをつくることが重要ですが、その手法の一つに、教育における社会活動が挙げられます。
島根県では、廃校寸前だった島唯一の高校で、多様な文化や価値観の中で多くの学びが生まれる「島留学」を実施。全国から多くの生徒が集った結果、生徒数は7年間で約2倍に拡大しました。さらに、将来の進路を考える契機とするため、生徒が地域住民と共に社会活動を実践する科目も創設しています。
地方創生の成否は、いよいよ重大な局面を迎えています。政府は、地方版総合戦略の実行に向けて情報・人材・財政の面から支援することはもちろん、教育の観点も含め、若者の活躍を通じた地域活性化を後押しすべきです。
災害教訓に防災力高めよ
観光立国
観光立国の推進について伺います。
今や観光、なかんずくインバウンド(訪日外国人)は、日本の「経済成長」とともに「地方創生」を進める上で重要な柱となっています。
今後、20年度の4000万人の高みをめざしていく上で、さらに日本の伝統文化、芸術、体験、歴史など、全国各地にある観光資源、それらを支える人を最大限に生かしていく体制を一層強化しなければなりません。
すでに政府は、訪日外国人受け入れのためのあらゆる環境整備の促進、訪日プロモーション活動などを行っていますが、「外国人の方が何に魅力を感じ日本を訪れているのか」「ゴールデンルートに集中する外国人旅行者の流れをどう地方に波及させていくのか」「リピーターや長期滞在者をどうすれば増やせるのか」など、民間等と連携をしながら知恵を絞り、的確な手を打ち続けていくことが求められます。
大震災からの復興
東日本大震災から間もなく丸6年となります。
公共インフラの復興、災害公営住宅の整備などが着実に進む一方、生活再建とともに、産業・生業の再生、東北観光復興などは、もう一段の支援が必要です。
「心の復興」「人間の復興」を成し遂げるまで、徹して被災者に寄り添う支援を継続していきたい。
福島では、最新鋭の農林水産業を促進し、安全・安心な「ふくしまブランド」の普及など、風評被害を払拭するさらなる取り組みが必要です。
また、廃炉・汚染水対策とともに、新たな産業基盤をつくる「福島イノベーション・コースト構想」の具体化を促進すべきです。
さらに20年の東京オリンピック・パラリンピックは、「復興五輪」として、福島県内で野球などの競技を開催する方針に、大きな希望の光が広がっています。国内のみならず、世界中が刮目するような輝かしい東北復興の姿を示していきたい。
自然災害への対応
昨年は、熊本地震や鳥取県中部地震、台風など、相次ぐ自然災害に見舞われました。
被災地の皆さまが、未来に希望をもって進めるよう、復旧・復興の取り組みを加速させなければなりません。被災現場では、さまざまな課題が浮き彫りとなりました。
熊本地震では、耐震改修が遅れていた庁舎や病院などが損壊し、防災拠点として機能しないケースが相次ぎました。
北海道や岩手を中心に襲った台風による集中豪雨では、堤防の決壊による河川の氾濫で、災害弱者の避難体制や、堤防の強化などが課題となりました。
新潟県糸魚川市の大規模火災では、その原因に、強風とともに「木造建築物の密集」が指摘されました。他方で、防災無線や地域住民による声掛けが早期の避難につながったことは、「地域防災力」の重要性を改めて認識するものでした。
これらに加え、社会インフラの老朽化対策も急がれます。昨年11月、産官学民が連携した「インフラメンテナンス国民会議」が発足しました。
老朽化対策を通じた防災・減災の加速化と、「メンテナンス技術」という新しい産業の育成・活性化を図るものとして期待されています。
安心と輝きの未来へ
女性活躍へ環境整備急げ
保育士の確保
働くことを希望する女性が、安心して子どもを生み育てられる社会――そのためには、保育の受け皿整備と保育士の確保が欠かせません。
公明党が求めてきた保育士の処遇改善策では、17年度から保育士給与を月額6000円増やすことに加え、技能や経験に応じてさらに4万円を上乗せすることとしています。
こうした処遇改善を通じ、新たな保育士の養成や「潜在保育士」の活用など、保育士確保に向けた取り組みを一層強化すべきです。
介護職員の処遇
介護人材の確保も急務です。介護職員等の処遇改善により、17年度から月1万円程度給与が上がることは大きな前進です。しかし、それでもなお人材不足は深刻であり、再就職支援を含めた人材の確保や離職者を減らすための抜本的な対策が必要です。
介護現場で働く方の悩みとして、仕事量に対する低い賃金や深夜業務への不安、人間関係、利用者からの暴力や暴言等が挙げられています。現場任せにはせず、実態を踏まえた相談体制の強化を進めるとともに、介護ロボットの活用やICT(情報通信技術)化による業務負担の軽減も促進すべきです。
働き方改革
国民一人一人の活躍を後押しする「働き方改革」――その実効性ある取り組みが急がれます。公明党は昨年末、「働く人の立場に立った働き方改革の実現に向けた提言(中間報告)」を首相に提出しました。今般、策定された政府の同一労働同一賃金のガイドライン案には、基本給だけではなく賞与・各種手当、福利厚生を含めた非正規労働者の処遇改善施策など、わが党の主張が反映されており、これを評価いたします。この提言に沿って、2点、伺います。
1点目は、テレワークや副業・兼業といった多様な働き方の推進です。
長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの実現、さらには職場内・職場外を含めた能力開発の機会を充実させ、若者・高齢者・障がい者等の多様な働き手の参画を後押しする取り組みが重要です。
テレワークは、子育てと仕事の両立をはじめ、離職防止の観点からも大事な取り組みです。また、副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段として大きな効果が期待されています。勤務時間の管理の難しさや、さらなる長時間労働を助長する懸念などが指摘されていますが、こうした課題の解決に取り組みつつ、労働生産性の向上の観点からさらなる普及を図るべきです。
2点目は、女性が活躍しやすい環境整備です。
女性活躍推進法や改正育児・介護休業法により、女性が働く環境は改善しつつあります。しかし、正社員として活躍する女性が増える一方で、働く女性の6割近くがパートなどの非正規雇用であることや、男性との賃金格差も課題となっています。また、女性の復職・再就職について、正社員だった女性が子育てなどでいったん離職すると、パート等の非正規で働き続けざるを得ない実態もあります。リカレント教育により、多くの方が学び直しできるよう助成制度を拡充することや、短時間勤務の導入など、女性がライフステージに応じて再就職しやすい環境整備を急ぐべきです。
青年政策
公明党は、これまで青年議員を中心に、各地で懇談会や意識調査などを行い、学生をはじめ若者の声を国政に反映してきました。
その結果、若者雇用促進法の制定や、いわゆるブラック企業・ブラックバイトの根絶などの取り組みが前進しました。また、地方版政労使会議を提案し、地方における賃上げや働き方改革も推進してきました。
他方で、若者に関する施策は各省庁に分かれており、政策効果を高めるためにも横断的な取り組みが必要です。政府には、青年政策を担当する大臣を明確にすることや担当部局の体制強化など、首相のリーダーシップで青年政策を総合的かつ力強く進めていただきたい。
いじめ根絶 全力で取り組め
教育
教育の原点は、子どもの幸福にあります。しかし、子どもにとって楽しく学ぶ場であるはずの学校が、いじめなどの深刻な問題により、生きる喜びが奪われてしまうことがあります。
昨年の調査結果では、いじめの認知件数が22万4540件と過去最多となりました。いじめの兆候を早期に把握しようとする学校現場の機運の高まりとの見方もありますが、深刻な数字と受け止め、これまで以上に未然防止や相談体制の充実に全力を挙げるべきです。
そして何よりも、未来の宝である子どもたちを苦しめる「いじめ」は絶対に許さない、との気風を社会全体で確立することが、いじめの根絶につながります。
また、不登校児童・生徒の数は12万6000人に上ります。全ての子どもにとって、学ぶ権利は尊重されなければなりません。
先の臨時国会では、フリースクールや夜間中学など多様な学び場の提供するための「教育機会確保法」が議員立法で成立しました。同法の趣旨を踏まえ、学校に行けない児童・生徒に学びの場を確保していただきたい。「ひとしく教育を受ける権利を有する」との憲法26条を、社会の変化に応じて具体化していく取り組みが求められます。
東京五輪
前回の東京大会が開催された1964年は、公明党が誕生した年でもありました。当時の大会では、新幹線や高速道路の開通など、現在にも残る数々のレガシー(遺産)が生み出され、戦後の荒廃から立ち上がった日本の復興を世界に示す象徴となりました。
2020年の大会においても、高齢社会、環境・エネルギー問題など、日本をはじめ、多くの国々が直面する共通課題を踏まえ、日本の強みである技術、文化を生かしながら、その先頭に立って課題解決に取り組む姿を世界に示し、次世代に誇れるレガシーを創出していかなければなりません。具体的に3点伺います。
まず、テロなど組織犯罪への対策強化とともに、高齢者や障がい者など誰もが安心して生活・移動できるユニバーサルデザインの街づくりや、心のバリアフリーを含め、全ての人の社会参加を後押しする取り組みを一層強化すべきです。
次に、オリンピックでは世界各国から多数の人が集まることもあり、選手村をはじめとして、日本で提供される食品には、安全の確保や環境への配慮が求められます。この大会を契機に、国際的に通用する認証取得に取り組みつつ、多様な食文化への対応が可能となれば、日本の食の競争力を高め、輸出拡大のチャンスともなります。
さらには、オリンピックは文化の祭典でもあります。文化芸術を通じて世界に日本の魅力を発信するとともに、文化芸術立国の実現を推し進めるため、昨年10月にスタートした文化プログラムを全国津々浦々で展開し、成功させていただきたい。
以上、わが国が直面する内外の政治課題について述べさせていただきました。
冒頭申し上げた通り、世界経済や各国の政治体制に不確実性が高まる中にあって、わが国は安定の要としてその責任を果たし、国際社会の平和と安定に積極的な貢献を果たしていかなければなりません。
連立政権の一翼を担う公明党は、引き続き、国民の声に真摯に耳を傾けながら、こうした課題を克服し、安心と希望ある未来を切り開くための政策を着実に実行していくことをお誓いし、私の質問を終わります。
山口代表に対する安倍首相らの答弁(要旨)
【安倍晋三首相】
一、(SDGsについて)誰一人取り残さないとの理念は、広く未来を担う子どもたちの心に深く刻んでほしい。20年度から開始される新しい学習指導要領に基づく教育課程や教材の改善、充実を推進していく。
一、(中小企業支援について)経済の好循環をより確かなものとするため、賃上げや生産性向上に重点的に取り組む。高い賃上げを行う中小企業に対しては、所得拡大促進税制による税額控除の拡充を行う。下請代金の支払いについての通達を見直し、現金払いを原則とした。また、雇用保険料率を引き下げる。
一、(地方創生について)若者が積極的に地域社会にかかわる取り組みを、情報、人材、財政面で支援し、地方創生にチャレンジする地方の皆さまを全力で応援していく。
一、(働き方改革について)テレワークは子育て・介護と仕事の両立の手段となり、女性、高齢者、障がい者等の離職を防ぐ効果も期待できる。ガイドラインの制定も含めて、多様な政策手段について検討を進める。
一、(いじめ問題について)子どもたちが、いじめは絶対に許されない行為であると自覚できるよう、道徳教育の充実を図るとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置充実を進めていく。
【石井啓一国土交通相】
一、(防災対策について)災害の教訓を踏まえ、整備効果の高いハード対策と住民目線のソフト対策を総動員していく必要がある。地震への備えとしては(防災拠点の耐震化へ)地方公共団体の耐震対策を支援する。