eがん患者の就労支援 時短勤務など環境整備急げ
- 2017.02.01
- 情勢/解説
公明新聞:2017年2月1日(水)付
「がんの治療と仕事を両立したい」との患者の思いに応える環境整備を急がなければならない。
内閣府は全国の男女3000人を対象に「がん対策に関する世論調査」を実施。がんの治療や検査のために通院しながら働き続けられる環境だと思うか聞いたところ、「そう思わない」の64.5%が、「そう思う」の27.9%を大きく上回った。がんの当事者ならば、その実感はより強いのではないか。
実際、がん患者の3割以上が依願退職または解雇されている。しかし、医療の進歩に伴い、がんは"不治の病"から"長く付き合う病"へと変化しているのだから、仕事を続けられる環境さえ整えば、離職を余儀なくされるケースを減らせるに違いない。
この点で重要なのは、短時間勤務や長期休暇制度の整備であろう。内閣府の調査でも、両立に必要な取り組みは、「短時間勤務の活用」(52.6%)、「柔軟な休暇制度」(46.0%)の順に多かった。
公明党が昨年12月の成立を主導した改正がん対策基本法では、がんになっても働き続けられるよう配慮することを事業主に要請している。
これを受けて、ある医療機器メーカーは早くも先月、がん治療中の社員に対し、最大2時間の短時間勤務や時差出勤などを認める制度を新設した。こうした事例が広がることを期待したい。
政府も「働き方改革」の一環として、がんなどの治療と仕事の両立支援に乗り出した。その一つが、企業向けのガイドラインだ。この中で、患者の病状を記した書面を主治医が用意し、企業は、それをもとに短時間勤務など必要な対応を取ることが提言されている。ガイドラインの普及を急ぐべきだ。
また、ハローワークの専門相談員が、がん診療連携拠点病院などと協力して実施する患者への就職支援についても、治療と両立できる求人の開拓に力を入れる予算がついた。
がん対策に全力を挙げてきた公明党は、先の衆院代表質問でも、井上義久幹事長が患者の就労支援を強く訴えた。患者や、その家族に寄り添った取り組みに知恵を絞る努力を続けたい。がん患者の就労支援 時短勤務など環境整備急げ