e衆院予算委 石田政調会長の質疑(要旨)

  • 2017.02.02
  • 情勢/社会
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公明新聞:2017年2月2日(木)付



1日の衆院予算委員会で、公明党の石田祝稔政務調査会長が行った質疑(要旨)は次の通り。


日米関係


首脳間の信頼構築に期待 首相 揺るがぬ同盟 世界に示す


石田祝稔氏 首相は2月10日にトランプ米大統領と会うと聞いている。どういうことを話し、確認しようと考えているのか。


安倍晋三首相 わが国の外交安保政策の基軸である日米同盟の重要性について、認識を一つにしたい。米国は日米同盟によって、アジア太平洋地域における重要なプレゼンス(存在感)を確保し、世界的な課題にも対応している。

経済問題においても、緊密に協力していくことで、どのような利益を互いに得ることができるか、建設的な会談を行いたい。

いずれにしても、日米同盟関係が微動だにしていないことを世界に示す会談にしたい。


石田 (日米間の自動車貿易に関して)トランプ大統領は誤解をしているのか、分かって言っているのか、そこが分からない。関税は日本から米国(への輸出)は乗用車が2.5%、日本に来るのは関税がかかっていない。ともかく、(日米首脳会談では)何でも話し合える関係をつくってもらいたい。また、2月3日にはジェームズ・マティス米国防長官が訪日される。どういう会談にしたいのか。


稲田朋美防衛相 アジア太平洋地域の情勢について意見交換し、共通の認識を持つ。日米同盟の諸課題について、忌憚なく意見交換し、日米同盟の強化、深化につながるよう、信頼関係を築いていきたい。


文科省 天下り問題


全容解明し再発防止を 全府省調査もスピード感持って


石田 天下りの問題について聞きたい。これは、あってはならないことだ。文部科学省は教育をつかさどる。教えるべき主体がこんなことでいいのか。再発防止の決意を伺いたい。


松野博一文部科学相 国民の文科行政に対する信頼を著しく損ねたことを、心よりお詫び申し上げる。省として猛省し、省全体を挙げて信頼の回復に努めていくため、(大臣直轄の)再就職等問題調査班を設置し、公務員制度等の有識者や弁護士の第三者が入ることにした。可能な限り、速やかに調査体制を整え、全容解明に向けて徹底した調査を進めていく。


石田 わが党も調査委員会を設置し、政府の調査の進展状況をしっかり見ていくことを決定した。

(全府省を対象とする)政府の調査チームは、いつから動き出し、いつまでにやるのか。


山本幸三国家公務員制度担当相 今のところ、いつまでという形にできるものではないと思っている。徹底的な調査をやる。できるだけスピード感を持ってやるということで効果を上げたい。


石田 国民は注視している。スピード感を持って、全容解明、再発防止に取り組んでもらいたい。


働き方改革


時間外労働 上限規制が重要 法律で明確化、罰則で担保も


石田 長時間労働の是正に向けた決意は。


首相
時間外労働の上限規制が重要だ。誰に対して何時間を上限にするのか、法律で明確に規定するのが重要で、その制限は罰則で担保することが必要だ。働き方改革実現会議で議論し、3月に策定する実行計画を踏まえて立案を進め、早期に法案を提出したい。


石田 退社から次の出社まで一定時間を空ける「勤務間インターバル」制度の導入について、どう考えているか。


首相 働き方改革の目的は、労働者の健康を確保した上で女性や高齢者が活躍しやすい社会をつくることであり、勤務間インターバルは、極めて重要な課題であると認識している。

他方、勤務間インターバルは、EUでも例外規定が設けられていることから分かるように、労務管理上の課題があることも事実だ。実施には、労働時間を短縮することが前提になる。このため、法律上明確な罰則付きの時間外労働規制を行うとともに、労使に対しては、勤務間インターバルの導入を促し、環境整備を進めていきたい。

(具体的には導入に向けて)就業規則の作成や労務管理用の機器を導入した中小企業に対して、費用の一部を助成する助成金の創設や、好事例の周知を通じて、導入の努力を促す。


石田 2017年度で、そういう中小企業の助成対象は、どの程度か。

塩崎恭久厚生労働相 対象となる勤務間インターバルの時間数は9時間以上。就業規則等の作成・変更、タイムカードなど労務管理用機器の導入・更新にかかる費用について、4分の3(上限50万円)を助成する。予算は17年度で4億円を予定。対象企業数は1200件程度を見込んでいる。


石田 若干少ない。環境整備にはもう少し増やす必要があるのではないか。


同一賃金 実効性ある法制度に


石田 同一労働同一賃金も働き方改革の大きな課題だ。日本では、非正規雇用者の賃金は、正規雇用者の6割程度になっている。これを欧州並み(8割程度)に引き上げるべきだ。


首相 非正規雇用者の昇給などの扱いが正規雇用者と異なるなどの不合理な待遇差を是正するため、詳細なガイドラインを昨年末に公表した。公明党の提言を踏まえ、基本給は、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。今後、不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えることを保障する実効性のある法制度としたい。実現会議で議論し、法改正の内容を具体化する考えだ。


石田 公明党の働き方改革実現推進本部では、昨年12月に政府に提言(中間報告)をした。3月に政府計画が策定される前に、公明党としても考え方を取りまとめ、改めて提言したい。


教育費の負担軽減


国づくりは人づくり 大学授業料 減免枠を拡充すべき


石田 昨年、わが党は給付型奨学金の創設を訴えた。私は「国づくりは人づくり」だと思っている。今後の拡充について、首相の考えを聞きたい。


首相 17年度からは、幼児教育の無償化や高校生への奨学給付金を拡充するとともに、無利子奨学金については成績要件を撤廃し、必要とする全ての学生が受けられるようにする。さらに、公明党から強い要望があった返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することとした。

教育費負担の軽減については、優先順位を付けて一歩ずつ充実を図ることが重要だ。今後も財源を確保しながら取り組んでいく。


石田 17年度予算案で国立大学の運営費交付金が25億円増加した。この中に授業料の減免枠の予算も入っている。引き続き交付金を伸ばす中で、減免枠も拡大していくべきだ。


文科相 17年度予算案では、授業料減免については、対前年度13億円増の333億円を計上し、対象人数を5.9万人から6.1万人へ増員している。引き続き、国立大学の授業料減免も含めた運営費交付金などの確保に努める。


石田 私学の減免対象も拡大しているが、学ぶ機会を増やしていく観点で今後も拡充すべきだ。


文科相 国立、公立、私立に限らず、高等教育の基盤を盤石にするため、運営費交付金、また私学助成などを確保していく。高等教育の充実を図ると同時に、家計における教育費負担の軽減も進めていきたい。


石田 高校の就学支援金について、多子世帯の場合、年収要件を見直す必要があるのではないか。


文科相 実情を十分に把握し、専門的見地からの意見も踏まえて、しっかりと検討する。


中小企業支援


「現金払い」強く進める 下請代金「手形」の慣行断ち切れ


石田 中小・小規模企業の支援について、首相は施政方針演説で明確に「(下請け事業者の)資金繰りを苦しめてきた手形払い」と指摘した。さらには、(下請け代金の支払いに関して)現金払いを原則とするとも述べられた。首相の力強い言葉は、よく言ってもらったと思っている。

今回、(下請代金支払遅延等防止法の運用基準を)大きく50年ぶりに改正したことで、(下請け取引条件の改善が)一歩も二歩も前進するのではないかと思っている。


首相 中小企業の中には自ら発注者として手形払いを利用している事業者が多数あることから、今回の通達では手形払いを一律に禁止することまではしていない。しかし、仮に手形などを使う場合でも、割引料を下請け事業者に負担させないことや、手形サイト(支払いまでの期間)を短縮することを求めている。これにより、発注者にとって手形払いにするメリットが少なくなることから、現金取引の比率が高まっていくと考えている。

下請け代金の支払いについて、これまで下請け事業者の資金繰りを苦しめてきた手形払いの慣行を断ち切り、現金払いの動きを強く押し進めていくため、政府を挙げて取り組んでいく。

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