eコラム「北斗七星」

  • 2017.02.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年2月8日(水)付



「日本には資源を効率的に利用していく『もったいない』という素晴らしい価値観、文化がある。私も、この『もったいない』を広げていきたい」―。12年前の今月、ノーベル平和賞受賞者の故ワンガリ・マータイ女史と浜四津敏子・党代表代行(当時)の対談を取材した際、マータイ女史が笑顔でこう語ったことを思い出した◆2020年の東京五輪・パラリンピックのメダルが、「都市鉱山」と呼ばれる不用な携帯電話や小型家電から回収した金属で作られることに決まったからだ。大会組織委員会は先週、全国の自治体などを通じて4月から回収を始める方針を示した◆再生金属がメダルに初めて使われたのは10年のバンクーバー冬季大会。先のリオデジャネイロ大会でも使用されたが、回収への協力を国民に求め、金、銀、銅合わせて5000個のメダルを全て再生金属で賄うのは初の試みだ◆必要量は金10キロ、銀1230キロ、銅736キロの計約2トン。製作工程でのロスを想定すると、4倍の約8トンの回収が必要という。容易なことではない。だが、国民の参加意識を高め、子どもたちが資源の有効利用の大切さを学ぶ意義は大きい◆もし存命なら、きっとマータイ女史も賛意を表し、こう呼び掛けてくれるだろう。「さあ、皆さんもご一緒に、もったいない!」。(翼)

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