e地域おこし協力隊 定住につながる支援策さらに

  • 2017.02.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年2月15日(水)付



地方に新たな人の流れをつくるチャンスではないか。

地方に移り住んで地域活性化に取り組む「地域おこし協力隊」が急速に拡大しており、2016年の参加者数が4000人を突破した。これは政府目標を4年も早く達成したものであり、正念場を迎える地方創生の弾みとしたい。

協力隊は、過疎に悩む自治体が都市部の若者を募集して地域活動に従事してもらう制度で、09年に創設された。自治体には隊員1人につき年間の人件費などで最大400万円の財政支援がある。

活動内容は伝統芸能の復活、地域ブランドの開発、耕作放棄地の再生などさまざまだ。09年は89人だった隊員が4000人を超え、受け入れ自治体も863にまで広がったことは、協力隊が地方を元気にする起爆剤として認められている証拠であろう。

今後も隊員の増加や受け入れ自治体の拡大が見込まれるが、課題も少なくない。その一つが隊員の定住化だ。

実際、最長3年の任期を終えた隊員の5割程度は、「働き先がない」ことを主な理由として、都市部に戻っている。ただ、任期後も地域に貢献したい若者は少なくない。引き続き、新しい力が必要な自治体もあるのではないか。

こうした中、任期後の人件費や家賃補助を県と市町村で折半するといった独自の取り組みを始めた地域もある。雇用の確保や住環境の整備は定住促進に不可欠であり、同様の取り組みが広がることを期待したい。

地方創生の主役である自治体は「地方版総合戦略」を策定しており、地域おこし協力隊はその柱の一つである。隊員の定住促進に今から手を打つことは、必ず将来のまちづくりにつながるとの認識が重要であろう。

地方議会では、2~3月に定例議会が開かれる。公明党議員の論戦に注目したい。

一方、政府にも、定住を促す環境整備が求められる。

隊員OB・OGのうち、約2割が同じ地域で起業していることから、総務省は、起業したい人に研修を行うなどの支援事業を16年度から開始した。任期後の進路を相談できる窓口体制も整備されている。こうした支援策をさらに強化していくべきだ。

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