eシリア和平 国連主導の協議再開に期待
- 2017.02.22
- 情勢/国際
公明新聞:2017年2月22日(水)付
シリアのアサド政権と反体制派が争う内戦の終息に向け、国連主導の和平協議が23日にスイスの都市ジュネーブで再開される。昨年4月に開催されて以来、長らく中断されていただけに、再開の運びとなったことを評価したい。
昨年12月30日のシリア全土での停戦合意が和平協議の転機となった。アサド政権の後ろ盾となっているロシアと、反体制派を支援するトルコが仲介し、実現したものだ。翌31日には、国連安全保障理事会(安保理)が、停戦を支持する決議を採択した。
シリア内戦は、人口が最も多く経済の中心地でもあるが故に激戦地となっていた同国北部のアレッポをアサド政権が制圧したことで、大勢は決したといえる。内戦を続ける意味が失われつつある状況下だからこそ、ロシアとトルコは歩み寄ることができたのではないか。
トルコは、シリア北部で活動する反体制派の活動家を国内で保護するなど、影響力が大きい。現在、ロシアとトルコは連携して、アサド政権軍が包囲している地域から住民を退避させたり、アレッポからの反体制派の撤退などを進めているという。
停戦により、住民の生活も安定を取り戻しつつある。国連児童基金(ユニセフ)は今月、アレッポ東部で34校の学校が再開し、1万5500人の子どもたちが教育を受けられるようになったと発表した。ただ、住民に食料や電気、水が届かない状況が続いている。国際社会は団結して、安保理決議が求めるシリアでの「迅速で安全、妨害行為のない」緊急援助物資の供与を進める支援を行うべきだ。
ロシアやトルコが主導してきた和平協議では、停戦に参加する穏健派の反体制派と、シリアで戦闘を継続する武装勢力を切り離すとしている。これは、アサド政権を支援する国と、反体制派を支える国の連携を円滑にする上で重要な視点だ。大統領が交代したばかりで明確なシリア政策を示せず、存在感が薄れている米国も、今回の停戦については「ポジティブ(支持)」であると表明している。
シリアの内戦は来月で7年目に突入する。国連主導の協議を成功させて、今度こそシリアに平和を取り戻したい。