e給付型奨学金は画期的
- 2017.02.22
- 生活/子育ての補助金・助成金
公明新聞:2017年2月22日(水)付
衆院予算委が中央公聴会
富田、伊藤氏質問に
公述人中小企業対策、効果を実感
衆院予算委員会は21日、2017年度予算案について公述人の意見を聞く中央公聴会を開き、公明党から富田茂之、伊藤渉の両氏が質疑に立った。
富田氏は、17年度導入の給付型奨学金制度について、公明党の提案で児童養護施設出身者などに対する入学時の追加給付(24万円)が盛り込まれたことなどで公述人の見解を求めた。
公明党推薦の東京大学・大学総合教育研究センターの小林雅之教授は、30万円程度に上る日本の大学の入学金について「進学の大きな制約になっている」と指摘し、追加給付は「(進学の)障害を除く上で非常に意味がある」と評価した。
今国会で提出された給付型奨学金関連法案に民間からの資金も受け入れる基金の創設が盛り込まれていることについては、「社会全体でお金を出す仕組みは重要だ」と強調した。
一方、伊藤氏は「日本の雇用の7割は中小企業・小規模事業者が支えている。ここが良くならないと日本経済は良くならない」と強調し、中小企業などの生産性向上への課題を聞いた。
昭和電気鋳鋼社長の手塚加津子さん(公明党推薦)は「簡単ではないが、(現場の視点では)ムリ・ムダ・ムラを一歩一歩なくすことに尽きる」と強調。地に足の着いた着実な取り組みが求められるとの見解を示した。
これに先立つ意見陳述で手塚さんは、自公政権の中小企業支援策の効果について「ひしひしと実感している」と評価。中小企業の設備投資を支援する「ものづくり補助金」などを活用し、「既存顧客の高度化する要求品質を実現し、需要が増加している新事業への参入が可能になった」と強調した。
さらに、政府が下請け取引の改善を進めていることで「原価低減要請や手形での支払い、賃金引き上げに伴う労務費の上昇分も発注事業者と協議できる土俵ができた。画期的なことだ」と述べた。
低所得層の進学促す
東京大学 小林雅之教授
今回創設される給付型奨学金制度は非常に画期的だ。(主要国で)「給付型」がないのは日本とアイスランドだけ。日本は非常に立ち遅れていた。大学授業料の高騰が続いてきたのに、約70年間(貸与型のみの)同じ制度が続いていた。(卒業後の所得に応じて返還額が決まる)新たな所得連動返還型奨学金がセットになっていることも強調したい。
「給付型」の規模や金額が小さいとの意見が報道でも見られるが、住民税非課税世帯を対象とすることは低所得層の進学を促すという趣旨から見て非常に意味がある。
将来的に規模の拡大は課題だ。給付額「2~4万円」は諸外国と比べると少ない。もう少し増やした方が良いのではないか。所得の低い人ほど手厚くなる金額設定や、家計急変への対応など、不断に手直ししながら、さらに良い制度をめざすことが必要だ。
新たな「所得連動返還型」は、(17年度以降に借りる)「無利子」が対象の(規模の)大きな制度だ。返済の負担に対する"保険"の役割を果たす。奨学金を借りない選択をし、そのために進学を断念することも起きている"ローン回避"を防ぐ有効な方策と言える。