e先進的ながん病院誕生へ

  • 2017.02.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年2月24日(金)付



放射線治療設備は国内有数
外見上の悩み、就労相談も
患者の社会復帰を支援
府議会公明党が推進



大阪府

先進的ながん治療拠点が誕生へ―。大阪府議会公明党(八重樫善幸幹事長)は10日、大阪市中央区大手前に建設中で、3月25日に開院予定の地方独立行政法人大阪府立病院機構「大阪国際がんセンター」を視察した。同センターは日本トップ級の放射線治療設備を備え、がん患者の就労支援やアピアランス(外見)の悩み解決にも対応していくとあって、関係者から注目を集めている。



同センターは、現在、大阪市東成区にある大阪府立成人病センターの老朽化に伴い、府庁舎の隣接地に移転建て替え工事が進められてきたもの。一行は、府の担当職員の案内で、地上13階・地下2階建てのセンター内を移動し、中央手術室、ICU(集中治療室)、病棟、診療フロアなどを見て回った。

地下1階の放射線腫瘍科に設置された最先端放射線治療装置「リニアック」(計3台)の視察では、放射線技師から、腫瘍部分にピンポイントで放射線を当てられることで、正常組織へのダメージを低減する効果もあるなどの説明を受け、熱心に質疑応答を行った。

リニアックを一つの病院内に3台置いているのは国内では珍しいという。1人当たりの平均的な放射線治療時間は10~15分。放射線診療時間帯は夜7時半までとし、患者が仕事帰りに寄って治療を受けられるよう配慮する。将来的には出勤前に受ける"早朝治療"の実施も視野に。働きながら外来でもがん治療を受けられる体制づくりに力を入れていくのが、センターの大方針だ。

また、がん患者が社会復帰の際に直面する「抗がん剤の影響による脱毛」など、アピアランス上の悩みに対しては、同センターの1階にヘアサロン「こもれび」を開設。毛髪関連会社の医療事業推進部のスタッフらが髪の毛のケアやスキンケア、患者に優しい肌着などの相談に応じる一方、医師や看護師へのアピアランス支援に関する研修も行う。

さらにハローワーク、大阪産業保険総合支援センターの協力を得て、がん患者の就労支援のための相談窓口も開設。国際連携の観点からは、タイなど4カ国4施設の医療機関と連携して人材育成、共同研究も進めていく。来年3月には隣接地に治癒効果が高い重粒子線治療施設をオープン。笑いとがん治療の実証実験も始める。

これまで府立成人病センターの移転建て替えに伴い、最先端治療の導入や患者のアピアランス支援、就労・社会復帰支援など、総合的ながん対策の充実を推進してきた府議会公明党。視察後、八重樫幹事長は「今回の新施設の誕生は手術や放射線治療を待っている多くの患者に朗報だ。がんになっても働ける支援体制づくりも期待している」と語っていた。

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