e防災と国際貢献 人材育成と技術協力 さらに

  • 2017.03.03
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年3月3日(金)付



東日本大震災から間もなく丸6年。インフラ整備や街づくりが進む一方、なお約12万人が避難を余儀なくされている。日常生活を取り戻せるまで寄り添い続けていきたい。

わが国は、巨大地震や集中豪雨などの大規模災害に幾度も見舞われてきた。そこで得られた教訓は、耐震基準の強化や避難所機能の拡充などの防災対策に反映されている。

こうした経験や知識、技術を国内だけにとどめず、国際社会に広く伝えていくことは日本の重要な責務であろう。

阪神・淡路大震災を経験した公明党の伊藤孝江さんは、1日の参院予算委員会で、自然災害のたびに世界中から真心の支援を受けてきた恩返しとして、防災分野での国際貢献をさらに進めるよう訴えた。その通りである。

とりわけ、開発途上国への支援を加速させたい。世界では2013年までの過去30年間で247万人以上が災害の犠牲となり、2兆4000億ドル以上の経済的な打撃を被ってきた。特に、犠牲者の約8割が所得の低い国に集中し、貧困に拍車を掛けている。

こうした国や地域に対し、わが国は発災直後の国際緊急援助隊の派遣に加え、災害に強い街づくりや行政制度の整備などを支援してきた。

では、これからの国際貢献の課題は何か。

重要なのは人材の育成と技術協力のさらなる展開だ。特に前者については、多くの途上国で国民の防災意識の希薄さが、甚大な被害につながっているとされる。各国で防災対策を担う人材が何よりも求められよう。

この点、15年に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で安倍晋三首相が、15~18年の4年間に途上国などに対し、各国の防災分野のリーダーを4万人育成する方針を表明したことを注視したい。15年だけで約1万人が研修を受けたとされ、取り組みは順調のようだ。

温暖化の影響により、自然災害は地球規模で深刻化している。日本はソフトとハードの両面から、世界の防災対策をリードする必要がある。

もちろん、日本国内での防災対策も重要であることは言うまでもない。学校の非構造部材の耐震化など、進めるべき課題は多い。

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