eコラム「北斗七星」

  • 2017.03.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月6日(月)付



大政奉還から150年の節目に当たり、高知県で「志国高知幕末維新博」が4日に開幕。高知市にオープンしたメーン会場の県立高知城歴史博物館では、坂本龍馬が京都・近江屋で暗殺される5日前に書いた新発見の直筆書状が一般初公開された◆「一筆啓上仕候」で始まるこの書状は、今まで全く存在が知られず、封紙に入ったままの状態で見つかった。歴史の封印が解かれたともいえる文面には「新国家」の3文字が。140通以上ある龍馬の手紙で初めて確認されたという◆書状は、大政奉還直後の不安定な政局の中、新政府の財政担当者として越前藩士・三岡八郎(後の由利公正)の派遣を同藩重臣の中根雪江に懇願する内容。「三岡の上京が一日先になったら、新国家の家計の成立が一日先になってしまう」と◆3年前にも、土佐藩の後藤象二郎に宛てた書状の草稿が、テレビ番組のロケ中に一般家庭で偶然発見されたが、その中でも龍馬は三岡を強く推挙している。新政府樹立に向けて財政を重視した着眼点が龍馬らしい◆他の手紙に比べて、文字が美しく整っているという新発見の書状。「新国家」の3文字にどんな思いを込め、どんな未来を描いていたのか。公開初日に訪れた"龍馬ファン"の列に並びながら、興味と魅力の尽きない人物だと改めて実感した。(祐)

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