e自殺対策強化月間(3月) 2000人調査を基に提言
- 2017.03.07
- 情勢/社会
公明新聞:2017年3月7日(火)付
SOSの出し方教育の開発、SNS活用した啓発を要望
知事「しっかり取り組む」
党長野県青年局
3月は自殺者が最も多い月で「自殺対策強化月間」に定められている。公明党長野県本部青年局の中川宏昌局長(県議)らはこのほど、県庁で阿部守一知事に会い、若者の自殺対策について提言書を手渡した。同県本部の青年党員や支持者が同世代の友人・知人などにアンケートを実施。その結果を分析し自殺予防策を考え、「SOSの出し方教育」のプログラム開発、LINE(ライン)などのSNSを活用した啓発活動の2点を要望した。
厚生労働省の2016年度版自殺対策白書によると日本では14年、15歳から39歳の年代で死因の第1位が自殺だった。同白書には「15~34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高い」とある。
同青年局は、この状況を重く受け止め、何か動きを起こそうと昨年5月、自殺対策の第一人者である清水康之氏(NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表)を講師に集会を開催。自殺の実態や対策の現状、自殺予防へ地域や一人一人ができることなどを学んだ。これらを踏まえ、若者の自殺を防ぐ対策を提言しようとアンケートを実施した。
調査は昨年11~12月に対面方式で実施。県内の10代後半から40代までの2038人から回答を得た。全13問で、選択肢の中から答えを選んでもらう方式。自殺したいと考えたことの有無、そう考えたときの年齢・要因、予防のため重要と思う対策などを聞いた。
調査結果によると、4人に1人が「本気で自殺したいと考えたことがある」と回答。その時期を「10代後半」と答えた人が27%に上った。また、「教育現場で重要と思う対策は何か」との問いに対し、辛いときに一人で悩まず支援機関や大人に相談することを教える「SOSの出し方教育」を選んだ人が一番多かった(29%)。
このことから提言では、同教育を学校で行うためのプログラムの開発と全国への発信を求めた。さらに、若者に向けた啓発活動としてLINE(ライン)、ツイッター、フェイスブックなどのSNSの活用も訴えた。具体的には、自殺予防につながるパンフレットや動画、支援機関の情報などをSNSで発信することを提案している。
要望を聞いた阿部知事は「若い人が自殺について真剣に考え、あるいは自殺してしまうことは、絶対なくしていかねばならない。一つでも二つでも実効性のある取り組みをしていくことが大事だ。要望の2点はしっかり取り組む」と約束。「SNS活用については、ぜひ公明党青年局の皆さんに具体的に掘り下げてほしい。『こんなやり方がある』『若者はこういう部分に関心がある』と教えていただければ実現していきたい」と述べた。
中川局長は「提言の後、公明議員が県・市議会で取り上げ、前向きな答弁が出ている。今後、県内各地で自殺予防対策が進むよう全力で取り組む」と話した。
平木大作党青年局長(参院議員)は提言について、「悩んだときに相談する相手を持ち、素直に助けを求めることの重要性が浮き彫りになった。予防策について若者に聞けたことも画期的であり、SNSの活用など、若者の生活様式に根差した対策を提言している。引き続き現場の声を聞き、自殺予防策の具体化に取り組みたい」と語った。