eコラム「北斗七星」

  • 2017.03.15
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年3月15日(水)付



ほとんどの国には、約束や誘いを断っても許してもらえる「言い訳」がある。日本では、さしずめ葬式だろうが、海の向こうのオランダでは子どもだ。愛児の病気や休暇、わが子が関わる企画・行事への参加などは「重要な会議での欠席の言い訳として誰もが使い、誰もが文句なく許している」(「オランダを知るための60章」 長坂寿久)◆15日はオランダ下院選の投票日である。急増する移民問題などを受け、イスラム教徒排斥や欧州連合(EU)離脱を訴える極右政党が第一党を窺う◆東欧にまで版図を広げたEUの原点は、第2次世界大戦後の和解と平和の希求、復興だった。その前身組織を発足させた6カ国のうち、オランダと独仏の3カ国が奇しくも今年、大型選挙で民意を問う。今や30カ国近くを統合するが、単一市場の恩恵を求めたり、民主主義と人権の回復をめざして仲間入りした旧共産圏など、加盟の目的や動機は一様ではない◆非同質性と多元性をダイナミックに包み込みながら歩んできた実験は岐路に立つ。「自国第一主義」に屈せず、多様性に富む開かれた社会空間を取り戻せるか。EUの老舗たちの踏ん張りを選挙戦で見せてほしい◆オランダは、そのトップバッター。言い訳が許されない選択。子どもたちの未来を見据えた判断を望みたい。(明)

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