eコラム「北斗七星」
- 2017.03.21
- 情勢/社会
公明新聞:2017年3月20日(月)付
ふるさとの友人から電話。北国もようやく日差しが雪を解かしはじめ、軒から落ちる水の音が聞こえるようになったという。その一方で「いやあ、また太った」と嘆く。普段からの自動車生活、ことに冬は「たばこを買うにもクルマだ」というから、要するに歩かないのだ◆内閣府の調査によれば、鉄道やバスなどの公共交通機関を月数回以上利用する人の割合は、東京23区や政令市など大都市では6割を超えるが、人口10万以上の中都市で3割、それ未満の市部で2割、町村では1割強に過ぎない。当然、その他の大部分の人は「主に自動車を使う」ことになる◆マイカーで通勤・通学や仕事をしている人が多い地域では、ますます鉄道やバスの本数が減り、路線が廃止になるところも。こうした地域で公共交通を維持することの困難さを、映し出している◆「歩かない」ということに関連して別な調査がある。厚生労働省が2012年に発表した報告で、都道府県別に1日何歩歩くのかを比較している。そのトップ3は、男女ともに東京、神奈川、兵庫の大都市部が占める。意外な感もあるが、以前、遊びに来て「東京は歩かされる」と言っていた友人の言葉が思い出される◆春がドアをたたいている。閉じこもっていないで、春の空気を胸に、歩いてみようか。(繁)