e17年度予算案 参院が委嘱審査
- 2017.03.23
- 情勢/社会
公明新聞:2017年3月23日(木)付
参院は22日、各常任委員会で2017年度予算案に関する委嘱審査を行い、公明党議員が生活者の視点に立った論戦を展開した。
都市農地の貸借円滑に 竹谷さん
参院農林水産委員会で竹谷とし子さんは、都市農業の振興策として、保全すべき都市農地を意欲と能力のある担い手に貸借する取り組みを促すよう要請した。
この中で竹谷さんは、都市農地が新鮮な農作物の供給だけでなく、市民農園や食育など「都市の住民にとって重要な役割を果たしている」と強調。その上で、所有者に対する相続税納税猶予制度に関して、農地を貸借する場合は適用除外になるため、都市農地の有効利用の阻害要因となっていると訴え、貸借のケースにも適用し、所有者以外への円滑な貸与を促す制度を検討するよう求めた。
細田健一農水大臣政務官は、相続税の納税猶予制度のあり方などの検討を進める姿勢を示し、都市農地の一層の活用に向け「円滑な貸借が可能となるよう、早期に関係者との調整を図り、実現に努力する」と答えた。
竹谷さんは、花粉症対策として花粉発生源であるスギ人工林を伐採し、木材に利用する取り組みへの財政支援の必要性も訴えた。
原発避難いじめなくせ 三浦氏
参院文教科学委員会で三浦信祐氏は、東京電力福島第1原発事故で福島県から避難した児童・生徒のいじめをなくすため、「周囲の大人の理解が不可欠だ」と訴えた。
三浦氏は、党横浜市議団が福島県の放射線教育の拠点「環境創造センター」の視察を踏まえ、横浜市当局に働き掛けた結果、教員の研修派遣や被災県の副読本活用を決めた事例に言及。「(教員が)福島で学び、PTAや地元の方々に伝える流れが大事だ」と力説した。松野博一文部科学相はできるだけ早い時期に同センターを訪問し、「その意義を発信したい」と答えた。
また三浦氏は、業務が膨大な副校長や教頭など、管理職の業務効率化に向けた取り組みを求めた。
成年後見の不正防げ 佐々木さん
参院法務委員会で佐々木さやかさんは、判断能力が不十分な認知症の高齢者や知的・精神障がい者らを支える成年後見制度に関して、財産管理などを担う後見人の不正防止対策の強化を求めた。
佐々木さんは、信託財産の払い戻しに裁判所が発行する指示書が必要な「後見制度支援信託」など、後見人による適正な財産管理を担保する制度に関して、周知を図り、「より利用しやすい制度へと検討していくべきだ」と訴えた。内閣府は、不正防止対策強化を成年後見制度の利用普及に向けて策定中の基本計画に反映させる考えを示した。
17年度予算案参院の委嘱審査 <22日>
スマホ料金引き下げよ 宮崎氏
参院総務委員会で公明党の宮崎勝氏は、スマートフォン(スマホ)の通信料金引き下げの必要性を訴えた。
宮崎氏は、総務省が携帯大手の回線を借りて低料金の通信サービスを行う仮想移動体通信事業者(MVNO)の参入促進などを行ってきたことを評価する一方、「民間研究所による調査で、大手3社の利用者は依然として月額料金に対する不満が大きいことがうかがえる」と指摘し、スマホ料金の低廉化に向けたさらなる取り組みを求めた。
高市早苗総務相は、2月にMVNOが携帯大手に支払う接続料の適正化のための省令改正をしたことなどに触れ、「利用者にとって、一層分かりやすく納得感のある料金とサービスを実現する」と答えた。
「大阪万博」実現で経済を底上げ 石川氏
参院経済産業委員会で石川博崇氏は、2025年万国博覧会の大阪誘致実現へ、政府の強力な後押しを要請した。
石川氏は、万博誘致の効果について「インバウンド(訪日客)を増やし、地方創生にも生かせる。日本経済全体の底上げになる」と強調し、「国を挙げて取り組みを」と訴えた。
世耕弘成経産相は、「万博の誘致に向け、政府全体で協力、連携して進めることが必要不可欠だ」と強調した。
北のミサイル、中期防への影響聞く 浜田氏
参院外交防衛委員会で浜田昌良氏は、北朝鮮のミサイルによる脅威が「新たな段階」に至ったことから、2018年までの中期防衛力整備計画(中期防)に与える影響などを聞いた。
稲田朋美防衛相は、「見直しを直ちに行う必要があるとまでは考えていない」と述べる一方、「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、防衛力のあり方については不断に検証していくことが重要」と答弁した。
事業引継センターの態勢強化が必要 伊藤さん
参院経済産業委員会で伊藤孝江さんは、国が運営する、事業承継などの公的窓口「事業引継ぎ支援センター」の充実を主張した。
伊藤さんは、全国に設置されている同センターに関して「人員が1人や2人のセンターも多く、この人数では十分な対応が難しい」と指摘。人員増強や外部専門家との連携などで、態勢を強化するよう訴えた。
世耕弘成経産相は、同センターの現状について「地域差があり、全体の底上げが必要だ。(2017年度予算案で)予算額を増やしたので人員を増強していく」と応じた。