e首相夫人の寄付、国会議員の関与
- 2017.03.24
- 情勢/社会
公明新聞:2017年3月24日(金)付
客観的な証拠なし
金額違う契約書3通「訴追の恐れ」で証言拒否
「森友」問題で籠池氏証人喚問
学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、衆参両院の予算委員会は23日、同学園の理事長退任を表明した籠池泰典氏の証人喚問を行い、同日午前の参院予算委で公明党の竹谷とし子さん、午後の衆院予算委で富田茂之氏が尋問に立った。籠池氏は、安倍晋三首相夫人から寄付金100万円を受け取ったと主張。同じ日付で金額の異なる小学校建築の工事請負契約書3通については、「刑事訴追を受ける恐れがあるので答えられない」と繰り返し、証言を拒否した。首相夫人の寄付については、菅義偉官房長官が同日の記者会見で、夫人の話として「領収書などの記録もなく、夫人個人としても寄付は行っていない」と否定した。公明党の山口那津男代表は証人喚問終了後、記者団に対し、学校の認可や土地の契約について、「政治家が関わった事実を裏付けることはできなかった」と語った。
竹谷、富田氏が追及
参院予算委で竹谷さんは、籠池氏が首相夫人から封筒に入った100万円の寄付を受け取ったとしたことについて、「寄付に対して、お礼状やメールなどをしたか」と質問。籠池氏は「お礼状は出していない」と述べた。
続けて竹谷さんは、寄付金が入っていた封筒を残しているかと聞き、籠池氏は「残っていない」と答えた。竹谷さんは「封筒も残していない。お礼状も出していない。私には100万円の寄付がなかったのではないかと思えてならない」と指摘した。
森友学園が小学校の認可申請に関して、竹谷さんが「愛知県の海陽中等教育学校に推薦枠があると報告したのは事実か。許可はあったか」と聞いたのに対して、籠池氏は「(同校理事長の)リップサービスを信じ込んで記入してしまった」と答えた。
「安倍晋三記念小学校」とうたって寄付金を募ったことについて、竹谷さんは「実際に寄付した人はいるか」と質問。籠池氏は「多くはいなかった」と述べた後、「いなかった」と言い直し、竹谷さんが「確かか」と問いただすと「記憶に定かではない」と語った。
一方、衆院予算委で富田氏は、2014年12月に大阪府の私学審議会が森友学園の小学校設立に対し、財政基盤に不安があるとして「継続審議」としたにもかかわらず、15年1月には一転して「認可適当」と判断されたことに言及。「ここに政治家の介入があるのではないかという懸念が出ている。(籠池氏が)政治家に依頼したとか、大阪府に働き掛けたことはあったのか」とただした。
籠池氏は審議会の内容を知ったのは今年3月になってからだとして、「私が政治家を通じて対応したことはなかった」と証言した。
小学校の建設費を巡り、金額が異なる3通の工事請負契約書が作成された問題で富田氏は、籠池氏と施工業者が正規の学校建設費を「15億5520万円」とした上で、私学審議会へは建設費を「7億5600万円」として提出することを確認した「覚書」を交わしていたことなどを追及。籠池氏は「刑事訴追を受ける可能性がある」と繰り返し、証言を拒否した。
参院予算委は23日午後、24日の集中審議に、売却交渉時に財務省理財局長を務めた迫田英典国税庁長官と、財務省近畿財務局長を務めた武内良樹同省国際局長を、参考人として招致することを決めた。
臆測ばかり語った印象 山口代表
山口代表は、籠池氏の証人喚問後、国会内で記者団に対し、大要次のような見解を述べた。
一、(籠池氏は)学校の認可、あるいはそれに伴う土地の契約について、国会議員である政治家が関わったという具体的な事実の裏付けを立証することはできなかった。本人の思いや臆測ばかりで、裏付けはまるでないのが第一印象だ。契約額などの質問には、刑事訴追を受ける可能性を強く意識して証言を拒否した。
一、(首相夫人の寄付について)もらったと言う側がそのもらった裏付けの事実を証明しなければならないが、礼状など寄付があったという客観的な事実を裏付ける証拠も一切出すことができなかった。