e世界経済の行方 日本は予算の早期執行、賃金増で
- 2017.03.30
- 情勢/国際
公明新聞:2017年3月30日(木)付
世界が混迷する今だからこそ、国を挙げて対処していくことが何より重要である。
米国の新政権発足から2カ月が経過したが、政策がつまずき始めている。直近では、トランプ氏が目玉政策として掲げたオバマケア(医療保険制度改革)の代替案の採決が議会で見送られた。オバマケアの見直しで財源が確保できなければ、期待された大型減税の実現も困難になったとの見方が市場に広がり、新政権への期待はしぼみつつある。
英国の欧州連合(EU)からの正式離脱がEUや世界の経済にどう影響を及ぼすのかも不透明だ。4月から始まるフランス大統領選で、有力候補と目される極右政党・国民戦線のルペン党首が勝利した場合、ただでさえ芳しくない同国の経済は大きく揺らぎ、その影響はEU全体に及ぶかもしれない。さらに、世界経済をけん引してきた中国も、経済の減速と資本流出に苦慮しており、息切れ状態だ。
特に米政権の経済政策がもたつく中、為替市場では円高が進行する場面が見られ、日本経済に与える影響が懸念されている。
こうした中で、日米の両政府は4月から経済対話をスタートさせる。歩み寄りが難しい分野もあるだろうが、この機会を通じて、ウィン・ウィン(相互利益)の関係を構築してほしい。
交渉を重ねる中でお互いの理解が進めば、「米国にも納得してもらえる」という安心感が、各国に広がり、台頭しつつある保護貿易主義の芽を摘む機会になるかもしれない。
そうした世界の状況を見据えて、わが国は何をすべきか。27日に成立した2017年度予算は「希望がゆきわたる国」に向け、国民が先行きを見通せる予算である。給付型奨学金の創設や、大規模災害に備えた防災・減災対策、社会保障の充実など、国民生活に直結する施策が数多く盛り込まれている。
自公政権の取り組みにより、デフレ脱却まで、あともう一歩のところにまで来た。成長の果実を家計にも及ぼすため、17年度予算を早期に執行することが目下の最大の経済対策となる。非正規社員を含め、賃金アップが着実に進めば個人消費を活気付けることも期待されよう。