e福島3町村避難指示を解除
- 2017.04.03
- 情勢/社会
公明新聞:2017年4月1日(土)付
帰還後の生活に希望を
特措法 早期成立に総力
県内11市町村 除染作業ほぼ完了
山口代表、井上幹事長が強調
東京電力福島第1原発事故による避難指示が31日、福島県飯舘村や浪江町、川俣町の3町村で、帰還困難区域を除き一斉に解除された。対象は居住制限区域と避難指示解除準備区域で、2万2000人余りに上る。これにより、川俣町の避難区域は全て解消した。飯舘村と浪江町では、解除に合わせた式典などが行われた。一方、環境省は同日、東電福島第1原発事故で出た放射性物質を取り除くため、福島県内11市町村の避難指示区域内で国が直接進めていた除染作業が、目標としていた3月末でほぼ完了したと発表した。政府は今後、放射線量が高い帰還困難区域の除染と復興拠点の整備に注力する。
今回の避難指示解除に関して、公明党の山口那津男代表は31日午前、国会内で行われた党参院議員総会で、解除地域が復興に向けてさらに前進していくためにも「福島復興再生特別措置法改正案」の早期成立が重要だと力説。
改正案に盛り込まれている復興拠点の整備を着実に進め、その上で「風評被害が払しょくされ、新たなイノベーション(技術革新)も進むような福島復興に向けて全力を挙げたい」と強調した。
井上義久幹事長も同日午前の記者会見で、「福島復興の弾みにしなければならない。わが党の地方議員とも連携を取りながら、国や県、市町村のネットワークを通じて帰還する避難者を支え、応援したい」と語った。
また、今回の解除により、最大で11市町村に約8万1000人いた避難対象者のうち、約7割が帰還可能になったことに触れ、「帰還する人が気持ちよく、希望を持ってふるさとに帰れる環境をつくることが大事だ」と指摘。商業施設や医療機関をはじめとした生活基盤の整備を進めるとともに、安心した生活ができるよう、一部で放射線量の高い「ホットスポット」の除染を着実に実施すべきだと強調した。
被災地に対する悲観的な報道などが、避難者の帰還を妨げている現状に対しては、「『風評被害の一つ』との指摘もある」と懸念を表明。東日本大震災の発災から6年が過ぎても風評被害が絶えず、風化も進んでいることから、今後も風評、風化と闘い、復興を力強く前に進めていくと力説した。
「真の復興のスタート」 飯舘村で記念の式典 高木副大臣が出席
飯舘村で行われた避難解除を記念する「いいたてむら おかえりなさい式典」には、高木陽介経済産業副大臣(原子力災害現地対策本部長=公明党)が出席。高木副大臣は「ここからが真の復興のスタート。事情も思いも違う一人一人が心の復興を果たせるよう、今後も全力で寄り添う支援を行っていく」と強調した。
菅野典雄村長は「待ちに待った解除だ。復興のスタートに立つことができ、とてつもなくうれしい。復興の基本は私たちの自主・自立の精神であり、復興の志を高めていきたい」と決意を語った。
式典に訪れた佐藤ハツヨさん(87)は、「ふるさと」の合唱が始まると、目をつぶりこれまでの来し方6年を振り返った。頭の中でさまざまな出来事が駆けめぐり、大粒の涙が頬を伝った。夏までには新築した村内の自宅に戻る予定。「本当に長かった。仮設生活に慣れた自分もいる。うれしいような悲しいような、いろいろな感情がこみ上げるね」と胸の内を吐露した。